雅勒の散歩路

能面師「雅勒(がろく)」が 能楽・能面及び、花木や野鳥・蝶等に関するHP番外編の記事を
“散歩”のような気軽な気持ちで、不定期に掲載しています。

雑能

能楽「道成寺」と面(おもて) 4

能楽の四番目物「 雑能(ざつのう) 」の大曲は、なんといっても歌舞伎や舞踊などでお馴染みの道成寺(どうじょうじ) 】でしょう。

今回は【 蝉丸(せみまる) 】に引き続き、「 雑能 」を紹介します。



道成寺は和歌山県の日高郡日高川町にある天台宗の寺院で、「安珍・清姫伝説」で有名な古刹です。

s_saigoku05_01a[1]
 道成寺の山門


S3007[1]



   本堂そばの
     シダレ桜 ⇒


「安珍・清姫伝説」は道成寺の僧・安珍(あんちん)に恋をした清姫が自分を裏切った安珍を追いかけて、蛇になって川を泳いで渡り道成寺の鐘の中に隠れていた安珍を鐘といっしょに焼き殺すという伝説です。


image[1]









紀州の道成寺では、長いこと釣鐘が無かったので釣鐘を再興し、その供養をすることになります。

住職(ワキ)は能力(のうりき:寺男)(アイ)に、その旨と故あって女人禁制であることを触れまわるように申し付けます。

そこへ一人の白拍子(前シテ)が現れ、鐘を拝みたいと強く望みます。
いったん断った能力も、舞を舞うことを条件に境内に入れてしまいます。

深井-横
 ⇐ 白拍子(前シテ)が掛ける
   《深井(ふかい)
》の面



「能楽百一番」(淡交社)_道成寺・前





      蛇の化身の
        白拍子
(しらびょうし) ⇒ 
 
 
                     
                        
                       「面からたどる能楽百一番」(淡交社)より
 

喜んだ白拍子は、烏帽子(えぼし)を借り、松のほかには一面の桜の中で乱拍子(らんびょうし)を踏み、謡い舞います。
そして隙をみて、鐘を落としその中に姿を消してしまいます。




住職は、
「一人の山伏をこの寺の鐘の中に隠したが、彼を追ってきた娘が蛇体となって鐘を取り巻き、山伏を取り殺してしまった」という、この鐘にまつわる昔話を語ります。

先刻の白拍子もその娘の怨霊(おんりょう)であろうと、ほかの僧侶と共に祈り始めます。


すると鐘があがり、その下にうずくまる蛇体の女(後シテ)が姿を現します。

般若
 ⇐ 後シテが掛ける
  《般若
(はんにゃ)の面


 般若-a







knd_djj「能楽百一番」(淡交社)_道成寺・後






 

                    「面からたどる能楽百一番」(淡交社)より



僧たちの必死の祈祷に蛇は自分の吐く炎に身を焼き日高川の深淵に姿を消します。





死んでもなお残る “ 女の執念 ” って、恐ろしいものですネ~ 



 注).白拍子には流儀により、《曲見(しゃくみ)が掛けられることも
    あります。
    また、観世流では白拍子に《近江女が掛けられます。


能面の詳細説明はHP『雅勒の庵』の「作品展示室
http://www.net1.jway.ne.jp/k_garoku/gallery.html
                  を覗いてみて下さい。


    < シリーズ : 面(おもて)から観る能楽 >
               第5回  能楽「蝉丸」と面    ’11  1/ 4
               第4回  能楽「羽衣」と面    ’10 12/ 1
               第3回
  能楽「清経」と面    ’10 11/ 1
               第2回  能楽「高砂」と面    ’10 9/30
               第1回  
能楽「翁」と面        ’10 8/18


能楽「蝉丸」と面(おもて) 4

能楽 “ 五番立 ” のうち四番目物は「神・男・女・鬼」のいずれにも属さない曲趣のものすべて ここに入れることから、「 雑能(ざつのう) 」 の名があります。

今年最初の観賞は、雅勒の年賀状にも使用した 雑能の【 蝉丸(せみまる) 】 を題材にします。



蝉丸 》 の宮(ツレ)は、醍醐天皇の第四皇子でありながら幼少時より盲目であったため、剃髪(ていはつ)の上、逢坂山に捨てられます。
蝉丸-a







蝉丸 》 は前世の報いとあきらめ、同情者の博雅三位はくがのさんみ 間狂言)が設えてくれた藁屋(わらや)で、心の慰みに琵琶を奏でて日々を送ります。


蝉丸
 ⇐ ツレの《 蝉丸
       専用面

栗谷能の会







                     
                    ↑ 栗谷能の会のHPより
                                    使わせて頂きました




一方、髪が逆立つ病のために狂乱し彷徨(さまよ)っていた姉宮の 《 逆髪(さかがみ) (シテ) は、琵琶の音を聞き、懐かしい音に足を止めます。

かけられた声に 《 蝉丸 》 と知った 《 逆髪 》。

逆髪
 ⇐ シテの《逆髪
       専用面

岩井氏のHP










姉弟は再会を喜びつつも、互いの身の上を嘆き合い、そして名残を惜しみながらも、再び 《 逆髪 》 は彷徨(ほうこう)の道を行き、 《 蝉丸 》 は見えぬ目でそれを見送ります。


     花の都を立ち出でて、
         憂き音に鳴くか賀茂川や
             末白河をうち渡り ・ ・ ・

       狂女なれど心は清瀧川と知るべし



小倉百人一首に登場する 《 蝉丸 》 は、 『 今昔物語 』では宇多法皇の皇子「敦実(あつざね)親王」に使える雑色(ぞうしき)となっていますが、能ではずいぶん身分が高くなっています。

 
百人一首
 これやこの 
  行くも帰るも わかれては
     しるもしらぬも 
           逢坂のせき
 
                       
蝉丸







 


能面の詳細説明はHP『雅勒の庵』の「作品展示室
http://www.net1.jway.ne.jp/k_garoku/gallery.html
                  を覗いてみて下さい。


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               第3回
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