今回は【 蝉丸(せみまる) 】に引き続き、「 雑能 」を紹介します。
道成寺は和歌山県の日高郡日高川町にある天台宗の寺院で、「安珍・清姫伝説」で有名な古刹です。
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⇐ 道成寺の山門
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本堂そばの
シダレ桜 ⇒
「安珍・清姫伝説」は道成寺の僧・安珍(あんちん)に恋をした清姫が自分を裏切った安珍を追いかけて、蛇になって川を泳いで渡り道成寺の鐘の中に隠れていた安珍を鐘といっしょに焼き殺すという伝説です。
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紀州の道成寺では、長いこと釣鐘が無かったので釣鐘を再興し、その供養をすることになります。
住職(ワキ)は能力(のうりき:寺男)(アイ)に、その旨と故あって女人禁制であることを触れまわるように申し付けます。
そこへ一人の白拍子(前シテ)が現れ、鐘を拝みたいと強く望みます。
いったん断った能力も、舞を舞うことを条件に境内に入れてしまいます。
⇐ 白拍子(前シテ)が掛ける
《深井(ふかい)》の面
蛇の化身の
白拍子(しらびょうし) ⇒
「面からたどる能楽百一番」(淡交社)より↑
喜んだ白拍子は、烏帽子(えぼし)を借り、松のほかには一面の桜の中で乱拍子(らんびょうし)を踏み、謡い舞います。
そして隙をみて、鐘を落としその中に姿を消してしまいます。
住職は、
「一人の山伏をこの寺の鐘の中に隠したが、彼を追ってきた娘が蛇体となって鐘を取り巻き、山伏を取り殺してしまった」という、この鐘にまつわる昔話を語ります。
先刻の白拍子もその娘の怨霊(おんりょう)であろうと、ほかの僧侶と共に祈り始めます。
すると鐘があがり、その下にうずくまる蛇体の女(後シテ)が姿を現します。
⇐ 後シテが掛ける
《般若(はんにゃ)》の面
「面からたどる能楽百一番」(淡交社)より↑
僧たちの必死の祈祷に蛇は自分の吐く炎に身を焼き日高川の深淵に姿を消します。
死んでもなお残る “ 女の執念 ” って、恐ろしいものですネ~
注).白拍子には流儀により、《曲見(しゃくみ)》が掛けられることも
あります。
また、観世流では白拍子に《近江女》が掛けられます。
能面の詳細説明はHP『雅勒の庵』の「作品展示室」
(http://www.net1.jway.ne.jp/k_garoku/gallery.html)
を覗いてみて下さい。
< シリーズ : 面(おもて)から観る能楽 >
第5回 能楽「蝉丸」と面 ’11 1/ 4
第4回 能楽「羽衣」と面 ’10 12/ 1
第3回 能楽「清経」と面 ’10 11/ 1
第2回 能楽「高砂」と面 ’10 9/30
第1回 能楽「翁」と面 ’10 8/18