雅勒の散歩路

能面師「雅勒(がろく)」が 能楽・能面及び、花木や野鳥・蝶等に関するHP番外編の記事を
“散歩”のような気軽な気持ちで、不定期に掲載しています。

雅勒

能楽「翁」と面(おもて) 5

能・狂言の魅力を、能面・狂言面から探ってみるのも興味深いものです。
雅勒の作品をベースに能・狂言の演目と内容をシリーズで解説してみます。

初回は、やはり『(おきな)』でしょう。

』の演目は「能にして能にあらず」といわれ、他の能と異なり劇的な展開を見せることのない儀式の演目です。

揚幕が上がると、「面箱」を掲げた狂言方が出てきます。「面箱」の中には「翁の白式尉」「三番叟の黒式尉」「三番叟の鈴」が収められています。
演者より先に「面(おもて)が登場します。面はご神体であるわけです。
面箱の次にはシテ(主役)の翁が直面(ひためん:面をつけずに素顔のまま)で出てきます。次に、ツレ(助演者)の千歳(せんざい)狂言の三番叟(さんばそう)の順に役が出てきます。


司祭役の太夫(シテ)が舞台右奥に座した後、
笛の吹き出しと小鼓(つづみ)の連打にのって、「とうとうたらりたらりら・・・(呪文めいた文句)と謡い出す。
続いて、千歳が若さを代表して溌剌(はつらつ)たる露払の舞を舞ってその場を清めます。
その間にシテが白式尉(はくしきじょう)の面をかけ、清められた場で白き翁の神が天下泰平を誓う舞を舞ます。

  白式尉                  
hakusiki   」の舞
        


「能面の風姿」(東方出版)
                          「能面の風姿」(東方出版) より ↑

続いて、三番叟が直面(ひためん)で「おおさいおおさい喜びありや・・」と、躍動的な「揉(モミ)ノ段」を舞います。
その後、黒式尉(こくしきじょう)の面を掛け、黒き翁の神となって鈴を振りかざし「鈴ノ段」を舞い、“五穀豊穣”を祈りを捧げます。

kokusiki-yoko
 ⇐ 黒式尉
 
    農耕になじんだ庶民的な
    神の相貌







「白式尉」、「黒式尉」の共通の特徴は、“切り顎(あご)”と“への字眼”で、「白式尉」の眉は兎の毛や麻で作った“ボウボウ眉”も他の能面には見られない工作です。


また、』の特殊演出古い演出)「父尉(ちちのじよう)延命冠者(えんめいかじゃ)には父尉延命冠者の能面が使われます。

enmeikajya

 ⇐ 
延命冠者
 
   延命の徳をそなえた
   少年の相貌で、「父尉」
   と対になる役









近年、『』の演目は新年あるいは舞台のこけら落としに上演されることが多くなったようです。


現在「老い」はマイナス要素で考えられることが多いのですが、古来伝統的には、長寿を保った老人(=)には不思議な霊力が籠もっていると、考えられ「年老いる」ことはプラス評価でもあったわけです。

現代社会にも、そうあって欲しいものですネ! (^‐^)v



能面の詳細説明はHP『雅勒の庵』の「作品展示室
http://www.net1.jway.ne.jp/k_garoku/gallery.html
                  を覗いてみて下さい。

面裏の趣(おもむき) 5

昨今、能面展は各地で開催されていますが、面裏はなかなか見れない事が多いですよネ!

能面は“写しの工芸”(創作もありますが・・・)なので、面表の作りはなかなか独自性を出すことが難しいものです。
でも、面裏は製作者の個性を発揮することが出来ます。 

今回は、雅勒の能・狂言面の面裏と雅号の刻印に付いて書いてみました。
(画像をクイックすると、拡大表示されます)
 

  般若           
般若般若_a

  





表の彩色に合わせて、茶系の「拭き漆」に古び粉を施しています。
初期の作品ですので、刻印は“”の手彫りです。


  小牛尉
小牛尉小牛尉_a







表の彩色に合わせて、黄系の「色漆」に白との粉で古びを出しています。



   中将
中将中将_a







男面の場合、鉄色の「色漆」で趣を変える場合もあります。


    三日月
三日月三日月_a







下塗りに緑系の「色漆」を敷き、上塗りで黒漆を施し、柳葉をイメージして角刀で軽く彫をいれています。



    姥
姥姥_a







桐材の木目と彫り後を強調するために、黄系の「拭き漆」で仕上げています。


 乙(おと:狂言面)
乙乙_a







高級家具や象嵌(ぞうがん)細工に施される木材着色の技法を使い、“過マンガン酸カリ”を水に溶かして筆塗りをした面裏です。




   鳶(狂言面)
鳶鳶_a







桐材の木目を強調するために、塗りの回数を減らした「拭き漆」で仕上げています。
福井県池田町の《能面の祭典》で『佳作』となったのを機に雅号の刻印を“雅勒”としました。


  小面
女面女面_a 







女面の場合、横彫りと下方からの斜め彫りを基本に、「朱漆」の下塗りに黒漆で仕上げます。
最後にマコモ粉で古びを出しています。

女面_b
 ⇐ 雅号の刻印は凹彫り
   にして、溝に朱漆を垂
   らします。






 
   深井
深井
 女面でも、本面の面裏を
 参考にして総横彫にする
 場合もあります。

 【伝 是閑出目吉満作】の
 写し







  べし見悪尉(ねこ目悪尉)
べし見悪尉べし見悪尉_a







「猫目」を意識して放射状の彫りと“くすんだ黒漆”で仕上げた面裏



  大べし見
大べし見大べし見_a







“ノミあと”を残さず、シンプルな彫り。
これも、趣がありますネ




  延命冠者
延命冠者延命冠者_さざ波







丸曲ノミで、細かく横に透いて“さざ波”を表現した面裏の趣。
溝に程良く残る古び粉が彫り後を強調しています。

最近の作品で、雅号の刻印も最終的に決まりました。
延命冠者_a







能面打ちを初めて、10年を迎えようよしています。
能面の裏彫りと雅号の刻印も色々と『寄り道』をしましたが、ようやく“雅勒”のスタイルが定まったようです。 

でも、肝心の面表はまだまだ修行を積んで『面(おもて)の花』を咲かせたいものです。


能面・狂言面の詳細説明はHP「雅勒の庵」を観て下さい。


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