雅勒の散歩路

能面師「雅勒(がろく)」が 能楽・能面及び、花木や野鳥・蝶等に関するHP番外編の記事を
“散歩”のような気軽な気持ちで、不定期に掲載しています。

雅勒

桔梗、花物語 5

雅勒 の好きな花の一つ、桔梗 が咲きだしました。

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風船のような蕾が膨らみ きれいな花が咲きます!!

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    桔梗の花 咲く時ぽんと 言ひそうな (加賀千代女)



これは、栽培種の 桔梗 ですが

野生種(原種) 桔梗 は絶滅危惧種だそうです。


桔梗 は秋の七草のひとつですが、

六月の末頃から咲き始め、

秋までたのしめる花でもあります。


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万葉集の山上憶良の歌に出てくる


   花を指折りかき数ふれば七種の花
   萩の花尾花(おばな)葛花
くずばな)
   瞿麦(なでしこ)の花女郎花(おみなえし)
   また藤袴(ふじばかま)朝顔の花



朝顔 」は、この 桔梗 のことだといわれています。



可憐で優しげな紫色の 桔梗 花は紋にも多く使われ、

桔梗紋 は母親が代々、

娘に伝えていくという習慣の代表的な女紋の一つと

され、「 母の紋 母譲りの紋 とも云われます。


武士でこの紋を用いたのは、

明智光秀の水色の 桔梗紋 が有名ですよね。

明智の桔梗紋








                                                明智の 桔梗紋





中国にこういう民話があるそうです。


 仲のよい新婚夫婦がいましたが、

 結婚後まもなく夫は遠方へ商いに出掛け、

 3年間、家に帰ってきませんでした。

 夫が久しぶりに家に帰ってくると、
 
 妻の姿が見あたりませんでした。

 夫が母親に尋ねると、

 「不治の病にかかったのでアヒル小屋に行かせたよ。」

 と答えました。

 夫がアヒル小屋に行ってみると、やせ細った妻がいました。

 夫の両親は妻が家に入ることを許さなかったので、

 夫は愛する妻とアヒル小屋で暮しました。

 夫は海で魚を獲り、それを町で売って生活費を稼ぎました。

 春になって米が手に入らなくなると、

 吉という姓の家の田のあぜに生えている野草を根ごと

 採ってきて食べました。

 その中に茎が大根に似た野草があって、

 それを煮て食べていました。

 すると、初夏の頃には妻の病気はすっかりよくなりました。


 以前に妻の病気を診た医者は驚き、

 その野草を生薬に加えました。

 そして、「吉」家の田の畦
(あぜ)で採れたことから「吉」と、

 
の意味の「土へん+更」の字を合わせた名前を付けました。

 それを、後の人が「吉」の字に木へんを添え、

 あぜの意味の字の土へんを木へんに改めて、

 「 桔梗 」 と名付けました。


    HP " 花物語 In てぃんぐの家 ” からの引用です



二重の喜び 5

福井県池田町の 全国新作能面公募

審査結果の一覧表が正式に送られてきました。

 審査結果表


















今回、

能面教室の2教室(梅、橘)から 雅勒 を含め6名の

方が応募して、更に2名の方の作品が 入選 してい

ました。 


うち、1名は

雅勒 の教室(橘)の 皆川道典さん の作品で

痩男(やせおとこ) 】 が入選。


痩男_皆川道典さん
 
          今年の定例能面展での展示画像


痩男 】 は、

雑能の 《 善知鳥(うとう) 》 や 《 阿漕(あこぎ) 》 で、

猟師や漁夫の亡霊役に使われる面なのですが、


皆川さんの作品は《 通小町(かよいこまち) 》のシテ役で、

恋に悩む貴族の雰囲気を滲ませている上品な表情に

仕上がっているようです。

淡い色合いの彩色で仕上げ、毛書きの弱々しさが

評価されたのではないでしょうか 


玄人好みの難しい面です。



皆川さんの入選を知った時は、自分のことよりも、

生徒さんの初めての 入選 の喜ばしさが身に

伝わってきました。



これから、益々の精進を期待いたします。

おめでとうございます。 



ちなみに、

水戸NHK文化センターの能面教室として、

生徒さんの入選佳作入賞は10年連続と

なりました。


次の教室の日(20日)には簡単な祝賀会が

予定されています。


皆川さんに、

雅勒 からの粗品を今から手作りする予定です。


組紐用絹糸



   浅黄
   組紐の絹糸を
   準備しました。





さて、何色にしましょうかネ~ 



初心忘るべからず 5

12年振りに 【 白式尉(はくしきじょう) 】 を打ってみました。


教室の生徒さんの一人が、人に頼まれたので

白式尉 】 を3面打ちたいとのことで ・ ・ ・



それならと、

製作時間も短縮できる小振りの 【 白式尉 】 として、

参考となる面を急遽打った次第です。


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      面裏は、
      さざ波の模様彫り


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 顎を切れば
 彫りの完成






この小振りの日光作 【 白式尉 】 は、


白式尉_伝日光作

   今回のモデル面
  




     伝 日光作
    17.5×14.1×5.7

    厚みが5.7cmと薄く
    彫りはなかなか難しい


 
                               「能のおもて」 玉川大学出版部 より



雅勒 が師事した、故 藤田朧雲(ろううん)師も打っていて

藤田朧雲作











     故 朧雲作の
      【 白式尉



洗い彩色 を施した素晴らしい面でしたので

いずれ、雅勒 も打ってみたいと思っていたものです。




本来、 【 白式尉 】 は

能面を習い始めて2作目位に製作する面なのですが

雅勒 も “ 初心 ” の言葉を噛みしめながら、

再び打ってみました。





『 世阿弥の奥義 - 初心不可忘 - 』

風姿花伝













世阿弥が言う “ 初心 ” は 最初の志 に限られては

いません。


世阿弥は、人生の中にいくつもの “ 初心 ” がある

と言っています。

 ・ 是非とも初心忘るべからず
  (是非によらず、修行を始めたころの初心忘るべからず)

 ・ 時々の初心忘るべからず
   (修行の各段階ごとに、各々の時期の初心忘るべからず)

 ・ 老後の初心忘るべからず
  (老後に及んだ後も、老境に入った時の初心忘るべからず)



これを能面打ちに例えて言えば、

能面製作の習いたての “ 若い時の初心 ” とは、

具体的には能面製作を始めて数年程のことでしょう。


人に能面打ちを教えるようになったころが、

 “ 時々の初心 ”  の時。


そして、

年老いてある程度の面打ちの極みにまで達しても、

これで良いと言えるような到達点はないと思います。


たとえ達人の境地に達したとしても、

その境地に足を踏み入れた時点で、

それはそれで新たな “ 初心 ” なのです。

それが、“ 老後の初心 ではないかと思います。


雅勒 の境地としては、

今は  時々の初心 の修練の真っ最中です。


“ 老後の初心 はまだまだ、先の先

そう思いたい今日この頃です。



牡丹の促成対策 4

今年の冬は、
あちこちで大雪の日が多いですネ。

先週は関東地方で、
成人の日 に大雪となり首都圏は大変なようでした。

幸いにも、
ここ日立では初雪が降ったのですが積雪には至らず
まったく混乱の様子はありませんでした。



でも、今日は 大寒
例年ですと雪の本番はこれからの様なので、庭の花木の管理も心構えをしておく必要があります。





昨年の暮れの大掃除で、
雅勒 の仕事場のゴザを新調しました。


雅勒の仕事場は、昔は子供部屋だったので
床はカーペット張りですが、面打ち の作業をする為に
二畳のゴザを敷いています。


新しいゴザ_12.31


 新しい藺草(いぐさ)
 の香りはいいですネ~




2年に一度くらいで、新しいゴザに替えるのですが
縁のほつれの外はまだまだ使える様な状況です。


この古いゴザを利用して何か出来ないものか   と
考え

来るべき今年の大雪対策として、 牡丹 こも掛け をしてみようと  ・ ・ ・


普通、
寒牡丹 冬牡丹 ” の こも掛け ” は秋の頃から準備するようですが

今回の試みは、
黄色の牡丹 が外の牡丹より2週間程遅れて咲くので
今年は一斉に咲かせてみたいと思い、
この時期から花芽の “ 促成 の実験的試みです。 


近くの河原で、太目の女竹を調達して
庭の薄(すすき)の穂を刈って、古ゴザの一畳分を揃えました。

コモの材料_1.17














観光地の こも掛け の様な風情にはちょっと欠けますが、機能重視の こも が完成です。

こも掛け_1.17











こもの中_1.17








 “こも”の中の
 黄色の牡丹
 





中と天井は、毛布代わりの萱で覆っています。
更に雪の日には、上からビニール袋を被せれば万全です。







こも の隣の深紅の牡丹の新芽は順調に育っています。


牡丹の新芽_1.17








 深紅の牡丹
 「太陽」の新芽








さてさて、
今年は赤・白・ピンク・紫に加えて 黄色の牡丹 も盛りの時期に合わせて一斉に咲いてくれるでしょうかネ~




「面(おもて)を打つ」_木取り 3

これから製作する男面の 十六中将 を、彫りから彩色までの過程を随時紹介していきます。


雅勒 の持っている能面教室では、最初に習う面は
小面(こおもて) で、初心者の場合は月2回(3時間/回)
のペースで45時間で完成させるように指導しています。

勿論、
教室の時間外での作業がかなりのウエイトを占めますので、実際のトータル時間はもっと長くなるでしょうね。


製作工程は大きく分類すると
 木取り ⇒ 荒取り ⇒ 中彫り ⇒ 小作り&仕上げ
で彫りが完成します。

彩色は
 面裏処理 ⇒ 下塗り ⇒ 上塗り ⇒ 彩色 ⇒ 毛書き
で一面完成です。

尉系の【 小牛尉(こうしじょう) や鬼神系の【 獅子口(ししぐち)】,怨霊系の【 般若(はんにゃ)】 などは
さらに、髪・髭などの植毛や眼・歯列の金冠などの細工作業が加わりますのでもっと時間と技術が必要になります。




(おもて)の製作にあたり、
参考にするモデルをきめます。

同じ面でも、作者によっては表情や彩色はさまざまです。

池田家伝来「能面」
 池田家伝来
 『能面』(写真集)



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 大野出目家
 第6代 甫閑(ほかん)
          【十六







堀安衛門「能面打ち-上」
  堀安右衛門
  『能面打ち_上』 


十六中将_堀安右衛門







⇐ 伝 龍右衛門 写し
   堀安右衛門 作
     【十六中将





梅若六郎家「能の華」
 梅若六郎家
 『能の華』(図録)

十六中将_梅若「能の華」







 十六中将】本面





このように参考とする面の画像を見比べて、モデルとなる面を決定します。

最終的に、
堀安右衛門著の『能面打ち_上』に掲載されている型紙を参考にさせてもらい、
型紙








梅若六郎家 能の華 の【十六中将】本面をモデルにして打つことにしました。



それでは、
まず最初の工程の 木取り です。

 1).面裏となる檜の面材で、面裏となる方を鉋(かんな)
     を掛けます。
   
           能面材には柾目(まさめ)と板目(いため)がありますが、
      大体は柾目の材を使用します。

            面表                  面表
           ↓                 ↓
板目
柾目

            柾目                  板目


     一般に、木裏(樹心に近い方)を「面の表」としているが、
     古面にはその反対に、「木裏」を「面裏」としているもの
      もある。


 2).面材の縦方向の中心線を引き、
     平面と縦型の型紙で材の両面に製図します。

平面の製図












     【十六中将】の基本サイズ
      縦        ・・・・  6寸9分   (208mm) 
      横        ・・・・  4寸6分 (138mm)
      厚(鼻の頂点)  ・・・・  2寸2分 ( 67mm) 



     能面の大きさは「女面」を基準とし、
      【小面】が標準になっている。

      縦        ・・・・  7寸   (212mm)
      横        ・・・・  4寸5分  (136mm)
      厚(鼻の頂点) ・・・・  2寸3分 ( 70mm)

      「タテ7寸」は当時の日本人の平均身長(5尺5寸)から
      きているとも云われている。




 3).鋸(のこぎり)を使って、余分な部分を落とします。

木取り













 3).叩きノミや突きノミで、面裏と面表が垂直になる
     ように側面を均(なら)します。

側面の製図











     この過程が重要で、
      ここは、型紙通りに平面を決める。

      出来上がりの面の輪郭の美しさを求めて・・・




 4).次の工程で、縦型に合わせて打ちだす為
     側面の製図をします。

各部位の厚み









側面の製図_a













このような手順で、平面の 木取り の半分が完了します。


今回は、ここまで 
次はお盆明けになるでしょうかネ 




明日は、
片道200Kmの運転で墓掃除に行ってきます。 






 < 過去の関連記事 >
 
   ・ 「秘すれば花」 と云うけれど    ’12  8/7  ☞ こちら

もうすぐ、春だというのに・・・ 2

今年の3月も、地震で始まりました。

朝の8時ちょっと過ぎ、下から突き上げるような衝動の後、しばらく横揺れが続き、
また来たかぁ~ と思いながらTVを付けると、

何と、
茨城県東海村の沖合近くが震源地で、震度は 5弱 



昨日の報道で、
北海道の 泊原発 と茨城の 東海村原発 は、近くに活断層があり、連動地震の可能性があると聞いたばかりなのに ・ ・ ・ 


去年の大震災の時、
東海村の東京電力常陸那珂火力発電所で、
高さ220メートルの煙突上で足場の取り付け作業中だった4人が死亡し、1人が重傷を負った、

震災被害が頭をよぎりましたネ~ 


P3010015

      震災被害がでた、
      発電所の大煙突 ⇒
  



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 今日
 近くを通りました。


 
  東京電力常陸那珂火力発電所



幸いにも今日の地震では、
原発関係には問題無かったようで、一安心です。




茨城県東海村 と云えば、
日本で最初に 原子力 の火が灯った村として有名であり、現在では日本原子力研究開発機構、
日本原子力発電東海発電所・東海第二発電所など
多くの原子力施設が村内に存在しています。


その東海村から、川一つ挟んで隣接している、
雅勒 の住む日立市の久慈浜・大みか地区。

勿論、
福島のような事態になれば、20Km圏内に入ります。


今となっては、
これ以上大きな地震や津波が起こらずに沈静化することを、願うのみです。




もうじき、春だというのに ・ ・ ・

今までは、この時期
下の娘の誕生日や 桃の節句 、そして結婚記念日が
あり、嬉しい季節だったのに ・ ・ ・


毎年、3月がトラウマになりそうです。  (>_<)





女面の見極め 3

雅勒の場合、

能楽を観る際、どうしても掛けている

(おもて) に目が行ってしまいます。


能の演目やシテ(主役)を演じる

能楽師の流派などから、

ある程度の察しはつくのですが

女面 」 の場合、

なかなか見極めの付かない時もあります。

( まだまだ、能への執着が不足かも ・ ・ ・ ? )


又、能面展に来られる方で、

「 女面って、みんな同じに見えてしまう 」 と云う

方もいらっしゃいます。


ごもっとも   

素人の打った能面ですから、

面を見て名前が判る程の出来ばえではないので、

当然ですよネ~ (笑)



このような時には、

髪の “ 毛書き ” に注目すると判り易いですヨ 

女面の鬘(かずら)や髪の毛の書き方で

” の名前が判ります。


女面の場合、一般的には毛の 本数が増えるほど、

また乱れるほど年嵩(かさ) が増したことを現します。



小面(こおもて) 】 は、

若い女を主人公にする演目の多くに使われます。

現代の女性でいえば15,6歳でしょうか・・・

小面
   清楚で整然と添い並ぶ
   三本の毛書き が 【 小面
   の特徴 (一段毛書)


  


        各流派で幅広く
        使われます






万媚(まんび) 】, 【 若女(わかおんな) 】,

増女(ぞうおんな) 】, 【 孫次郎(まごじろう) 】 等は、

小面よりもう少し年嵩が増した女性です。


万媚
 
  万媚

   額中央から三本出て、
   途中で外側の一本が
   途中から他の二本の
   中に入り込む








 
若女
  【 若女

   額中央から二本出た、
   流れ髪の途中に二段
   のほつれ髪が特徴


         観世流の
           代表面




 
節木増
  【 増女

   額中央から二本出た、
   流れ髪が本体の髪に
   合体し、さらに途中から
   の三本の流れ髪が頬ま
   で流れ、
   それをまたぐほつれ髪が
   合わさる、三段毛書きが
   特徴



孫次郎
  【 孫次郎

   額中央から二本出た、
   流れ髪の途中から
   さらに二本流れ髪が
   追加される特殊な
   毛書きが特徴


         金剛流の
           代表面






さらに、年嵩が増し中年女性の 【 深井(ふかい) 】 や

曲見(しゃくみ) 】 は増女と同じ三段毛書きですが、

ほつれ毛の本数が多くなったり、

流れ髪がこめか辺りから流れ出るのが特徴となります。



深井曲見














       【 深井 】           【 曲見 】:
烏丸氏のHPより 



さらに年は嵩み、 《 高砂(たかさご) 》 のツレが掛ける

(うば) 】 は本数もずっと増え、

白髪交じりの毛書きになります。


姥















また別に、オクレ毛(長さの短い毛)を乱すことで、

すさまじさを出した 【 増髪(ますかみ) 】 や

泥眼(でいがん)
】 があります。


増髪泥眼













       【 増髪 】               【 泥眼




毛書き用の筆は、

軟らかくて腰のしっかりした面相(めんそう)筆や

蒔絵(まきえ)筆を使います。


毛書き用の筆

この作業が一番神経を使いますネ~ 




能楽や能面展示会などを観に行かれた際、

能面のことがチョットだけわかっていると

益々興味が出ると思いますが、

いかがでしたでしょうか   







   能・狂言面の詳細説明は
   HP 『 雅勒の庵
』 の 「 作品展示室 」 を覗いて見て下さい
                               ☞  こちら

能楽「蝉丸」と面(おもて) 4

能楽 “ 五番立 ” のうち四番目物は「神・男・女・鬼」のいずれにも属さない曲趣のものすべて ここに入れることから、「 雑能(ざつのう) 」 の名があります。

今年最初の観賞は、雅勒の年賀状にも使用した 雑能の【 蝉丸(せみまる) 】 を題材にします。



蝉丸 》 の宮(ツレ)は、醍醐天皇の第四皇子でありながら幼少時より盲目であったため、剃髪(ていはつ)の上、逢坂山に捨てられます。
蝉丸-a







蝉丸 》 は前世の報いとあきらめ、同情者の博雅三位はくがのさんみ 間狂言)が設えてくれた藁屋(わらや)で、心の慰みに琵琶を奏でて日々を送ります。


蝉丸
 ⇐ ツレの《 蝉丸
       専用面

栗谷能の会







                     
                    ↑ 栗谷能の会のHPより
                                    使わせて頂きました




一方、髪が逆立つ病のために狂乱し彷徨(さまよ)っていた姉宮の 《 逆髪(さかがみ) (シテ) は、琵琶の音を聞き、懐かしい音に足を止めます。

かけられた声に 《 蝉丸 》 と知った 《 逆髪 》。

逆髪
 ⇐ シテの《逆髪
       専用面

岩井氏のHP










姉弟は再会を喜びつつも、互いの身の上を嘆き合い、そして名残を惜しみながらも、再び 《 逆髪 》 は彷徨(ほうこう)の道を行き、 《 蝉丸 》 は見えぬ目でそれを見送ります。


     花の都を立ち出でて、
         憂き音に鳴くか賀茂川や
             末白河をうち渡り ・ ・ ・

       狂女なれど心は清瀧川と知るべし



小倉百人一首に登場する 《 蝉丸 》 は、 『 今昔物語 』では宇多法皇の皇子「敦実(あつざね)親王」に使える雑色(ぞうしき)となっていますが、能ではずいぶん身分が高くなっています。

 
百人一首
 これやこの 
  行くも帰るも わかれては
     しるもしらぬも 
           逢坂のせき
 
                       
蝉丸







 


能面の詳細説明はHP『雅勒の庵』の「作品展示室
http://www.net1.jway.ne.jp/k_garoku/gallery.html
                  を覗いてみて下さい。


    < シリーズ : 面(おもて)から観る能楽 >
               第4回  能楽「羽衣」と面    ’10 12/ 1
               第3回
  能楽「清経」と面    ’10 11/ 1
               第2回  能楽「高砂」と面    ’10 9/30
               第1回  
能楽「翁」と面        ’10 8/18


 

また、この時期が来たぁ~ 3

毎年恒例の、福井県池田町『能面の祭典』第9回新作能面公募の知らせが届きました。
この時期、
期待感もあり、悩ましくもあり複雑な気持ちです。

 公募案内
 福井県池田町は、鎌倉時代から 
 江戸時代にかけて製作された41
 の古面が現存していることから
 「能楽の里」と呼ばれています。
 
 能面を通じて文化の交流を図る、
 この公募展は全国から出展されま
 す。


               (画像をクイックすると、拡大表示されます)


雅勒が能面打ちを初めて5年目に、何とか人前に出せる作品が出来たのをきっかけに、第4回『能面の祭典』に公募デビューして今回で6回目になります。
3回目(第6回)の出品作が“佳作”に選ばれ、目指してた“”に自信が持てました。

以来、3年連続で“佳作”・“入選”となりそろそろ、その上を目指したいところです。

獅子口_横
 ⇐ ’07 第6回公募展“佳作”
          獅子口



鳶(狂言面)




   ’08 第7回公募展“佳作”          
         (狂言面)


蝉丸_横

 ⇐ ’09 第8回公募展“入選”
           蝉丸









今年は、NHK文化センターの講師を務めてから初めての出展と、4年連続受賞のプレッシャーを今まで以上に感じます。

一人2面まで出展出来るので
 
黒式尉
 ⇐ 『黒式尉

 


延命冠者



 
      『延命冠者』 ⇒



大べし見

 ⇐ 『大べし見








3面の内、いずれかと女面の『孫次郎』かな 孫次郎











究極は、女面での入賞が目標ですが・・・





能面の詳細説明はHP『雅勒の庵』の「作品展示室
http://www.net1.jway.ne.jp/k_garoku/gallery.html
                  を覗いてみて下さい。

北限のお茶 3

お茶処としては九州の八女茶、京都の宇治茶、静岡茶、埼玉の狭山茶など関東以南の温暖な処が有名ですが、
茨城、それも福島に近い常陸大子町の奥久慈にも茶の産地があることはご存じでしたか

茶は年平均気温が11℃で栽培の北限とされていますが、経済的に茶の栽培がひきあうのは、茨城・栃木・群馬・新潟の四県を結ぶ線の以南といわれており、奥久慈関東の北限にあたります。

茶畑-1010312
 ⇐ 北限の茶畑


茶畑a-1010312

   
             
             畝(うね) ⇒



奥久慈の茶は、
八溝山系の山肌の冷涼な気候と、霧などによる適度な日照量の条件がよく、ほど良い渋みが有り、香りの高い良質なお茶だそうですヨ~ 茶葉1001

             
             茶の新芽 ⇒





奥久慈茶園は、いまから約400年前、慶長年間に左貫(さぬき)の西福寺(さいふくじ)を開いた石附兵治(いしづきへいじ)が宇治茶の苗木を持ち帰り、植え付けたのが始まりと言われている。それを近隣に分植し、奥久慈は“北限のお茶”の産地となったそうです。


この時期、茶の花が咲き始めていました。
街中ではあまり見られないお茶の花ですが、花弁は5枚の白で、多数の黄色い雄しべを包んで下向きに咲いています。 

茶花1001
 ⇐ 茶の花

   茶の花や白きが故に翁の像 
                  漱石

  

こんなに可愛い花なのに、
茶農家では、茶の花が咲くと茶樹の衰えが出てきた証拠とか、あるいは、花が咲き実を結ぶと畑の養分を消費されてしまうことから、花が咲くと摘んでしまうそうです。



こういう環境の中にある奥久慈「茶の里公園」の和紙人形美術館(山岡草 氏の作品常設館)で、雅勒の師である藤田朧雲(ろううん)氏 主催の『能面・創作面展示会』が行われています。

人形美術館1001
 ⇐ 和紙人形美術館

      能面展1001



 『能面・創作面展示会』 ⇒



今の時期は、彼岸花が咲き誇っています。
これから袋田の滝の紅葉リンゴ狩り 等々、行楽のシーズンですので近くに来られたら、奥久慈「茶の里公園」まで足を延ばしてみてはどうでしょうか・・・

あっ、そうそう
奥久慈は湯葉・コンニャク、鮎の塩焼き、秋蕎麦、それにTVなどでも有名になった地鳥の奥久慈しゃもなどが美味しいですよ。
 
グルメ派にも魅力的な味覚の旅をお勧めいたしま~す  




『能面・創作面展示会』の詳細情報は
HP『雅勒の庵』の「催し物情報をご覧ください。↓
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2/3 催し物情報に能面展告知 をアップ




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