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クイックすると、別窓で開きます。
男面の彩色に入りますが、
この 【 十六中将(じゅうろくちゅうじょう) 】 は平家の公達の
面(おもて)なので極めて女面に近い彩色となります。
下塗りは、
梨地無しの無垢肌で、額(ひたい)は左右対象に斜めの
軽い 刷毛目 で仕上げてます。


上塗りは、一部に “ 刷毛目彩色 ” を施し、全体的には “ 打ち胡粉 ” による軽い 梨地 で仕上げます。
1).上塗り用の 胡粉 と 顔料 で色胡粉を作る。
水干顔料(すいかんがんりょう) の調合

・和黄土
・岩群緑(淡)
・山吹
胡粉に調合した顔料を入れて、
更に 空摺り する

色胡粉を膠(にかわ)液で溶いて、“ 通し ” に掛け
ぬるま湯で濃度を薄めに調整をする
2).3種類の平筆で上塗りをする。

中央の穂先を
つめた筆で、
刷毛目を際立
たせる
良く乾かしてから塗りムラの無いように、
上塗りは2~3回する。
(今回は、3回塗り)
3).ぼかし筆で色胡粉を打ち付け(打ち彩色)て、
軽い梨地を施す。
一度の打ち込みでは、凹凸が出ませんので
多少湿り気のある状態で、3~4度程打ち
付けます。
クリックして拡大してみて下さい ↑
4).網ぼかし
ヤシャブシ液に、赤味を足す
軟らかいぼかし筆で、軽く網を撫ぜるように
穂質の軟らか
い方が粒子が
細かくなる
5).軽い研ぎ
400#のサンドペーパーを2枚摺り合わせて
目の細かいペーパに仕上げる
指の腹で、そっと撫でるように ・・・
6).梨地の凸部に タンポ打ち
2色の古色を
作る
木綿布の
タンポで
古色を付ける
面縁や凸部を濃い目の赤味古色を施し、
凹部はくすんだ古色を施す
7).コーティングを兼ねた、仕上げ塗り
上塗りで使った色胡粉液を、布で濾(こ)してから
更に濃度を薄く調整する
8).目の墨入れ
下塗り胡粉に墨を入れて、薄墨を作る
薄墨と
蒔絵筆
先ずは、
薄墨で
濃い墨を入れる
眼(まなこ)の
部分は下地色
を残す
人の眼とは逆に、白眼部分に墨は入ります
9).鉄漿(おはぐろ)を入れる
歯先は薄墨
で根元は黒く
通常の男・女面は、上歯だけです。
10).唇の紅差し
男面なので、橙色系に墨を混ぜてクスミを出す
11).毛書き
青墨に
少し黒墨を
足す
冠部
細めの
毛書き
12).眉(まゆ)入れ
3段階の
濃さの墨
第1段階
薄く輪郭を
タンポ打ち
筆で
斜めに薄く
色付け
ウッスラと
輪郭付け
布で研ぐ
以降、順次墨を濃くしながら、根気よく眉を
入れていく
急ぐと、胡粉が剥離(はくり)するので、注意が
必要
13).疵(きず)彩色
荒目のサンドペーパーで、冠部と毛、目の際、
唇(くちびる)に疵を施して、
ヤシャブシ液で古色出しをする
冠部の
疵付け
唇の際の
古色付け
以上で、ほぼ完成します。
更に仕上がりの全体の色調を見て、再度ぼかしや
タンポ打ちで色のバランスを整える場合もあります。
面裏
平家の若き公達(きんだち)の表情が、窺(うかが)えましたでしょうかネ~
通常の女面の彩色は、
冠部と毛書きの形を除いては、ほぼ同じ様な彩色となります。
これをもちまして、
「 面(おもて)を打つ 」シリーズの完結といたします。
【 十六中将 】の作品は、
HP 『 雅勒の庵 』_作品展示室の掲載してありますので
面の説明や詳細画像はそちらを参考にして下さい。
☞ こちら
このシリーズ、
雅勒 の教室の生徒さんや面打ちを始めて間もない人達の参考になれればいいのですが ・ ・ ・
< 過去の関連記事 >
・ 女面の見極め ’11 6/ 8 ☞ こちら