能面で女面と云えば、最も若い 【 小面(こおもて) 】 でしょう。
“ 小 ” は愛らしさ、美しさの接頭語だと思います。
歳の頃は、16、7歳ですネ~
金春(こんぱる)の小面、宝生(ほうしょう)の増女(節木増)、金剛(こんごう)の孫次郎、観世の若女が各流派を代表する “ 若い女面 ” ですが、
金剛流に伝わった有名な 小面 があります。
室町の初期、能に心酔した豊臣秀吉が、石川龍右衛門(りゅうえもん)の打った 小面 を三面、手に入れそれぞれに雪・月・花の名前を付けて愛蔵したそうです。
晩年「雪の小面」は師匠格にあたる金春太夫に、「月の小面」は後事を託した徳川家康に、そして
【 花の小面 】 を当時の名人であった金剛太夫に与えたといいます。
同じ 【 小面 】 でも作者によって、 愛らしさ、美しさの表現は微妙に変ります。
雅勒が以前に打った 小面 は
近江(おうみ)の能面師で般若等の鬼面を得意とした赤鶴(しゃくづる)一刀斎の本面を参考にしたものです。
⇐ ’07 の作品
赤鶴の
【 小面 】 本面 ⇒
丹波篠山で、
本面にお目にかかりました。
どうですか ?
【 花の小面 】 と 赤鶴の【 小面 】、違いが分かりますよネ。
次の製作目標は、【 花の小面 】 です。
赤鶴の 小面 よりも、少し下膨れの幼い表情が現わせますかネ~ ???
あいにく、正面の写真しかありませんので
能面打ちのバイブルともいえる鈴木慶雲氏の書籍に掲載されている二種類の型を参考に型紙を作りました。
⇐ バイブル
(初版と再版)
勿論、写真は白黒で寸法は、寸厘です。
雅勒流の平面図と縦型の基本型紙を作り、横からみたイメージ図を製図します。
側面の
イメージ図 ⇒
これで、【 花の小面 】 の面打ち準備が完了
面打ちの格言で、
「小面に始まり、小面に終わる」 と云われますが、
これはまだまだ路半ばの習作だと思います。
ある意味、終わりの無い精進です。