こんな季節、
陽だまりでお茶でも飲みながら(と云っても、煎茶ですが)
秋花を見てのんびりと過ごす ・ ・ ・

至福の季(とき)ですネ~
今回は、庵に咲く “ 秋の茶花 ” をお届します。
実際に茶室に生けられるイメージを、音霧忍さんの
HP 『 季(とき)の庭 』の 茶花アルバム から
特別に画像をお借りして、コラボしてみました。
秋海棠(しゅうかいどう)は、ベゴニアの仲間では珍しく、
耐寒性がある多年草です。
晩夏から秋にかけて咲く花ですので、
庵の庭では、そろそろ花が散る頃です。

秋海棠の花

江戸時代初期に
日本に持ち込まれて、
江戸時代の風流人に
大変好まれた花です

矢筈薄(やはずすすき)

秋海棠
秋明菊
オケラ
釣船草
鵯花(ひよどりばな)
(籠花入)
↑ 音霧 忍 さんの作品
日陰を好む、この花は 和歌にも詠まれていますが、
漢名をそのまま採り入れた 「 秋海棠 」 の語を歌中
に入れることは憚(はばか)られたのは
「 断腸花(だんちょうか) 」 の別名からですかネ~

色も名も 唐くれなゐの 花のつゆ
かけそめて見む 倭ことの葉 - 本居宣長 -
一般的なススキを 尾花(おばな) とも呼びますが、
葉に横縞模様の斑入りのススキを、矢の羽根や
鷹の羽の模様に見えることから
矢筈薄(やはずすすき) や 鷹の羽薄(園芸種) と云います。

秋明菊(しゅうめいぎく)はキンポウゲ科の多年草で、
かなり古い時代に中国から渡ってきた花です。
各地に野生化し、特に京都の貴船山に多いので
貴船菊(きふねぎく)の別名があります。

矢筈薄 ⇒

⇐ 貴船菊
(秋明菊)

尾花
貴船菊
杜鵑(ほととぎす)
藤袴
紫紺野牡丹
(魚篭籠花入れ)
↑ 音霧 忍 さんの作品
尾花 も万葉の時代から、“ ススキ ”,“ をばな ”,
“ 草(かや) ”,“ み草 ” の名前で登場します。
秋の野の 美草(みくさ)刈りふき 宿れりし
宇治の京(みやこ)の 仮いおし思ほゆ
- 額田王 -
水引草(みずひきそう)はタデ科の多年草で、
庵の庭のあちこちに繊細な花を咲かせています。
でも、増えすぎるから困るんですよ~
夏の終わり頃から、茎の先に紅い小花を穂状につけ、
仲秋頃までは咲いています。
この花穂が進物用の紙糸 「 水引 」 に似ていること
からこの名が付いています。
本来「 草」は不要らしいのですが、紙糸の水引と
紛らわしいためか「水引草」と呼ばれることが
多いようです。
水引草の
紅い小花 ⇒
水引
藤袴
黄如雨露杜鵑(ほととぎす)
(籠花入れ)
↑ 音霧 忍 さんの作品
杜鵑(ほととぎす) はユリ科の多年生草で、
山野の林下や林縁、崖や傾斜地などの日当たりの
弱いところに自生する花です。
花びらの斑点模様が鳥の ホトトギス のお腹の模様
に似ているところから、この名が付いています。
杜鵑の花 ⇒
不如帰(ほととぎす)
水引
(籠花入)
↑ 音霧 忍 さんの作品
鳥のホトトギス は日本では古くから様々な文書に
登場し 杜鵑,不如帰,時鳥,子規 等、漢字表記や
異名も様々です。
卯の花の 匂う垣根に
時鳥 早も来鳴きて
忍音もらす 夏は来ぬ
「夏は来ぬ」 作詞:佐々木信綱
でも、
鳥のホトトギス(時鳥) の季語は夏なんですよネ~
野牡丹(のぼたん) はブラジル地方が原産だとか ・ ・ ・
普通によく見かけるのは “ 紫紺野牡丹 ” で、
紫色がきれいな牡丹のように美しい花なので、
この名が付いています。
紫紺野牡丹の花 ⇒
紫紺野牡丹
水引
(籠花入れ)
↑ 音霧 忍 さんの作品
この花達が終わると、
庵の庭はハナミズキやドウダンツツジの紅葉、
ハクモクレンの黄葉の景色に変ります。
冬の到来までは、まだまだ楽しみが残っています。
HP「雅勒の庵」の “ 四季の庭_秋 ” で
虫の音を聞きながら “ 秋の花達 ” が観られます ⇒ こちら