今、
盲目の青年 《 蝉丸(せみまる) 》 の面を打っています。
《 蝉丸 》 は以前に一面打っていますが、
能面展の際に来場して頂いた方の依頼で
再度の製作です。
昨年、近くの大学の図書館で読んだ斎藤澄子氏の
- 能楽「蝉丸」と「弱法師」における
“あわれみ”と“悲しみ”の意識構造 その1-
と云う論文を思い出しました。
能楽の【 蝉丸 】 と 【 弱法師(よろぼし)】 は、
主人公が高い身分の出の青年で、
ともに盲目で最下層に身を置き、
憐れみを誘う悲話を題材にしています。
【 蝉丸 】に付いては、
以前ブログで紹介していますので
詳しくは述べませんが、姉宮の 《 逆髪(さかがみ) 》 との
再会と別れのドラマです。
この二人に対する “ 悲しみ ” の感情は同質のもの
として共有できるものですが、
“ 憐れみ ” はそれぞれの生き方の違いからくる
感情に反映されているようです。
《 逆髪 》の面 ⇒
⇐ 《 蝉丸 》の面
《 逆髪 》 が外向的な明るさが有るのに対して、
《 蝉丸 》 の内向的で静的な暗さが、
心理的な動きに反映されるからでしょうか?
さて、今度の
《 蝉丸 》 はどんな仕上がりになりますかネ~
《 弱法師 》 も
いずれ打ってみたいと思っていますが ・ ・ ・
淡交社 「能楽百一番」より
斎藤澄子氏の論文は、その3で 【 弱法師 】 の
俊徳丸(しゅんとくまる)に付いて言及されるようです。
そこでは、
継母の玉手御前の慈愛まで考察されるのでしょうか?
論文の公開が楽しみです。
その大学、
茨城キリスト教大学のキャンバスでは
今、“ 慈愛 ” のバラが咲いています。
キアラ館前の
花壇に咲くバラ
能面とバラって、意外な取り合わせですが、
案外合うものですヨ~ ⇒ HP「雅勒の庵」
< 過去の関連記事 >
・ 能楽「蝉丸」と面 ’11 1/4 ☞ こちら