今年になって、
ようやく自分の作品の彩色が出来ました。
能面展 の準備やら、福井・京都そして名古屋と
落ち着かない3ヶ月でしたので ・ ・ ・
そうそう、足首の捻挫もありましたネ~
雪の【 小面 】 の2面のうち、1面が完成しました。
彫り は昨年の7月に完成していたのですが、
やっとの思いでなんとか ・ ・ ・
本面 は、京都の金剛宗家のもので
モデル面
雪の【 小面 】
龍右衛門の作
と伝えられる
毎年恒例の夏の虫干しで 本面 が展示されるので
本面 をもう一度観てからと思ったのですが、
結局、昨年は展示されなかったようでした。
雅勒 の作品
【 小面(雪) 】写し
- テラス - - クモラス -
でも、
この【 小面(雪)】 は、すぐに人のてに渡って
しまいます。
< 過去の関連記事 >
・ 雪・月・花 ’14 7/18 ☞こちら
本面
昨年の11月から
東京日本橋の三井記念美術館で開催されている
「 能面と能装束 - 神と幽玄のかたち -」 展 を
観賞してきました。
これらの能面展示は、
4年程前にも開催され、ほとんどの面はみていますが、
これから彩色をする 【 小面(花) 】 の 本面(ほんめん) と 近々製作を予定している面をもう一度眼に焼きつけておきたくて行ってきました。
花の【小面】 本面
これで、
三井家伝来の能面の観賞はこれで三度目ですが、
やはり 本面 の迫力は凄いものですネ~
写真集では、
彫りの段階で必ず見ているのですが ・ ・ ・
三井家所蔵の名物面の 【 孫次郎(ヲモカゲ) 】 も何回見ても飽きませんネ~
前回の観賞のおりに
購入した写真集 ⇒
“孫次郎”とは作者の名前で
若くして亡くなった妻を慕って
打った面とも言われており、
別名「ヲモカゲ」とも言われる
金剛流の名物面です。
⇐ 雅勒の打った
【 孫次郎 】
雅勒もこの【 孫次郎 】 を数面打っているのですが、
この表情になかなかたどり着きません。 (>_<)
昨日は、久々の東京だったので
まずは渋谷のセンター街を抜けて、東急ハンズ で
能面の眼や歯・牙の
金冠のメッキに使う
メッキ液を購入 ⇒
銅板を打ち抜いて、金メッキを施した金冠
やぁ~、
このところの金相場の高騰で、こんなところにも価格上昇の影響が ・ ・ ・
その後、渋谷駅前の日本画専門店「ウエマツ」で
狸毛の面相筆 と 金泥用の彩色筆
お昼は、珍しい鯨カツのランチを
渋谷駅前の
「 くじら屋 」で
雅勒の故郷の房総も、鯨料理が有名で
ついつい、鯨の看板に魅かれてしまいました。
美味しかったですヨ~
さすがに、
渋谷は若者の街ですネ~
少し、元気を貰いましたよ。
えっ
買い物 と 食べ物が地味ですかぁ~
三井記念美術館の売店で、こんなものも売っていたので買って見ました。
匂い袋用の香木の刻みや香原料、9種類の詰め合わせですが、
“ 白檀 ” は香炉で焚いてみようかと思います。
さて、
これから暫くは、四月定例の能面展示会に向けて、
女面を2面彩色に集中しないといけません。
本面 の感触を思い出しながら ・ ・ ・
能面で女面と云えば、最も若い 【 小面(こおもて) 】 でしょう。
“ 小 ” は愛らしさ、美しさの接頭語だと思います。
歳の頃は、16、7歳ですネ~
金春(こんぱる)の小面、宝生(ほうしょう)の増女(節木増)、金剛(こんごう)の孫次郎、観世の若女が各流派を代表する “ 若い女面 ” ですが、
金剛流に伝わった有名な 小面 があります。
室町の初期、能に心酔した豊臣秀吉が、石川龍右衛門(りゅうえもん)の打った 小面 を三面、手に入れそれぞれに雪・月・花の名前を付けて愛蔵したそうです。
晩年「雪の小面」は師匠格にあたる金春太夫に、「月の小面」は後事を託した徳川家康に、そして
【 花の小面 】 を当時の名人であった金剛太夫に与えたといいます。
同じ 【 小面 】 でも作者によって、 愛らしさ、美しさの表現は微妙に変ります。
雅勒が以前に打った 小面 は
近江(おうみ)の能面師で般若等の鬼面を得意とした赤鶴(しゃくづる)一刀斎の本面を参考にしたものです。

⇐ ’07 の作品

赤鶴の
【 小面 】 本面 ⇒
丹波篠山で、
本面にお目にかかりました。
どうですか ?
【 花の小面 】 と 赤鶴の【 小面 】、違いが分かりますよネ。
次の製作目標は、【 花の小面 】 です。

赤鶴の 小面 よりも、少し下膨れの幼い表情が現わせますかネ~ ???
あいにく、正面の写真しかありませんので
能面打ちのバイブルともいえる鈴木慶雲氏の書籍に掲載されている二種類の型を参考に型紙を作りました。

⇐ バイブル
(初版と再版)
勿論、写真は白黒で寸法は、寸厘です。


雅勒流の平面図と縦型の基本型紙を作り、横からみたイメージ図を製図します。


側面の
イメージ図 ⇒
これで、【 花の小面 】 の面打ち準備が完了

面打ちの格言で、
「小面に始まり、小面に終わる」 と云われますが、
これはまだまだ路半ばの習作だと思います。
ある意味、終わりの無い精進です。

能楽は、平安~鎌倉時代の舞楽や田楽を起源として、
室町時代に猿楽(さるがく:申楽)に曲舞(くせまい)という音楽を取り入れた 観阿弥(かんあみ)と、息子の 世阿弥(ぜあみ)により、更に芸術性の高い歌舞主体の芸に磨き上げられ、今に至っています。
能面の多くは室町時代末期に創成され、ほぼ完成していたようです。
能面師は、この時代に完成して型の決まった面を “ 本面(ほんめん) ” と呼び、その後は、その原型を継承していきます。
安土桃山~江戸時代には更に円熟し、一定の型が決まり各流派ごとに曲によって使われる能面が固定しました。
それ以降は、 “ 写しの能面 ” が作られ、新しい能面が創作されることはほとんどなかったようです。
“ 写しの能面 ” を より本面に近づける工夫がされ、考案されたものが 『 型紙 』 です。
面を打ち始めた当初は、師事する先生から 型紙 を頂いたり、写真集に付随されている 型紙 をもとに習作を作っていましたが、今では、序々に、型紙の無い能・狂言面創りにも挑戦して、
何とか、写真だけを便りに面を打つ事が出来るようになりましたネ
この狂言面の鳶(とび)もその一つです
⇐ ’07 第7回
「能面の祭典」に
出展したもの
( 佳作 )
参考にした写真集 ⇒
山本東次郎家
「狂言の面」
写真から、
基本となる平面と縦型の 『 型紙 』 だけは作ります。
基本の『 型紙 』 ⇒
眉・目・鼻・口は
デッサンします
後はひたすら、写真とにらめっこしながら打ち進めていきます
彩色も写真の色合いを見て再現します。
( 本面を見て色彩感覚が掴めればいいのですが ・ ・ ・ )
能面教室で、この狂言面を打って見たいと云う希望者がいたので真剣に型紙作りに取り組みました。
まずは、
ポイントとなる各部分の高さと横位置の関係を測定します。
⇐ 手作りの
三次元測定器
各部を測り、
平面図に記載する
横の基準
(赤線部)
・ 額(ひたい)
・ 眉の上
・ 目上
・ 目
・ 目下
・ 鼻の付け根
・ 口ばし
・ 顎(アゴ)
測定した高さと横位置から、グラフ用紙にプロットして概略型を描きます。
厚手の紙にトレースして
カッターで切り抜きます。
⇐ 切り取った後の
バリ取り
細かな部分は、
小さなハサミで ⇒
何度も、実物の面に合わせてながら型紙を調整していきます。
微調整は、
サンドペーパーで ⇒
こうして、額~顎(あご)までの横型紙を作っていきます。
とにかく、根気のいる作業ですぅ~ (>_<)
⇐ 各部の横型紙
・ 眉の上
・ 目
・ 口ばし
これで、すべての部分の型紙の出来上がりです。
能面教室の教材にするため、
出来あがった型紙をA3サイズに写しとり編集します。
教材にする平面図には、
ポイントとなる凹凸部の高さを明記するため
再度、測定して平面図に追記します。
⇐ 凹凸部の
微妙な部分を
再測定
これも、手作りの測定器で、
小学校で使うコンパスの針を
接触部に利用しています。 ⇒
⇐ 完成した
平面図
参考資料用の
側面イメージ図
⇒
最後に、狂言面の鳶(とび)の解説文と彩色手法の説明を付けて教材も完成です。
近代では、個々の能面師により独創性な創作面が創られるようになりました。
それも、後何百年もすると、その時代を代表する本面になるかも知れませんネ
< 過去の関連記事 >
・ 能楽「鞍馬天狗」と面(おもて) ’11 3/3 ☞ こちら
雅勒
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2/3 催し物情報に能面展告知 をアップ
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