NHK大河ドラマの 平清盛 も、

平家滅亡を迎えてしまいましたネ~  


以前にブログで紹介した 土蜘蛛(つちぐも) は、

清盛が活躍する以前の平安中期の源氏の武将の

お話でした。

今回は 平家物語 に関連する能(約60曲)

中から
平家滅亡後の 源平合戦 に纏わる能楽を

紹介します。




須磨(今の神戸) 一の谷の合戦   で、

源氏の武将 熊谷直実(くまがいなおざね)が、

舟へ逃げようとする武者の姿を見つけ、

呼び止めるとその武者は引き返してきます。

神戸観光壁紙写真集_須磨寺




      須磨寺
     の銅像



                              神戸観光壁紙写真集 より


その武者は、

直実に組み伏せてられて討ち取られてしまします。


この物語は、

源義経の 鵯越(ひよどりごえ)の逆落し と共に

源平の歴史ロマンとして語られていますネ。




直実 との一騎打ちで討たれた年端もいかない

若武者が、

笛の名手とも言われている 平敦盛(たいらのあつもり) で、

清盛の甥(清盛の弟、平経盛の末子)にあたります。




敦盛 ” と云えば、

織田信長が好んで謡い舞った曲が 幸若舞(こうわかまい)

の 「 敦盛 」 で、

    思へばこの世は常の住み家にあらず
        ・ ・ ・ ・ ・ ・
    人間(じんかん)五十年、
    化天(けてん)のうちを比ぶれば、
    夢幻の如くなり
      
・ ・ ・ ・ ・ ・

お馴染みの詞章ですネ 


でも今回は、

大河ドラマ 平清盛 』 のエピローグとして、

能楽の 《 敦盛(あつもり) (おもて) を紹介します。



・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・


直実
は戦場に笛を持参するという 敦盛 の風流さに

感嘆し、敦盛 を討ったことを悔い、

後に出家して蓮生(れんしょう)と名乗りました。


敦盛 の菩提を弔うために一の谷を訪れた

蓮生(ワキ)が回想にふけっていると、

笛の音が聴こえ草刈男たちが現れます。


蓮生は男達に

 「笛を吹いていたのはあなた方の仲間か」 と問うと、

中の一人(前シテ)が笛にまつわる話をし、

 「自分は 敦盛 に縁のある者で、
  十念( 南無阿弥陀仏を十回称えること)を授けて欲しい」

と頼みます。

蓮生が経をあげると、

男は、敦盛 の化身であることをほのめかして姿を

消しました。

        ・ ・ ・ (中入) ・ ・ ・

その晩、

蓮生が 敦盛 の菩提を弔っていると、

その霊(後シテ)が往時の甲冑(かっちゅう)姿で現れます。

【十六中将】b_11.22




  敦盛の霊が
  懸ける
  【十六中将】の面


【十六中将】_11.22














敦盛 の霊は平家一門の栄枯盛衰を語り、

笛の名手だった生前の最後の宴を懐かしんで

[中之舞]を舞い、合戦での討ち死にの様子を

再現して見せます。

「能百十番」(平凡社)_敦盛







  敦盛の霊(後シテ)
      の[中之舞]




 

 
                        「能百十番」_平凡社 より


そして敵に巡り会えたと仇を討とうとするが、

蓮生の弔いを受けてもはや敵ではないと悟り、

極楽では共に同じ蓮に生まれる身になろうと

云い残し消え去ります。


                   ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・


昨日の敵は今日の友

十六歳でこの世を去った敦盛と、

その敦盛を源平の合戦で討った熊谷直実。


この二人が時を経て、

僧と亡霊と云うかたちで再会した二人に仏法を

縁とする友情が生まれます。




今回は特別に、

平家ゆかりの 厳島神社 ” の能舞台で

演じられる 《 敦盛 も動画でご覧下さい。



広島の稲垣様から動画を拝借させて頂きました。
 ブログ⇒『 不良おやじのパラグライダー人生 』




雅勒も 安芸の宮島 には二度程行っていますが、


厳島神社_'08.11




  ’08 11月
      撮影


厳島神社能舞台_'08.11



  重要文化財
  の能舞台





今度は、

潮が満ちて海間に浮かぶ 厳島神社 能楽堂

観てみたいですネ~








    能面の詳細説明はHP『雅勒の庵』の「作品展示室
               ⇒ こちら
  を覗いてみて下さい。