今、庵の庭の隅では、春の季語となっている 山吹 が見頃です。 

生垣風に、
お隣との境に植えてあるので、道路側の方がよく目立ちます。


八重の山吹


 山吹 はバラ科の落葉低木で、古くから親しまれた花ですネ。 

子供のころ、
山吹 の茎(くき)のスポンジ状の芯を空気鉄砲の弾にして遊んだ 記憶、ありませんかぁ~ 




彩色の中にも 日本の伝統色の 山吹色 として含まれます。

能面の彩色でも、
主ではありませんが“ 色の味付け ”によく使われる色の一つです。

水干絵具_山吹


 まさに、
 山吹 の花の色
 

 









庵に庭には、
八重咲き ” と “ 一重 ”の2種類ありますが、

八重咲き の方が色合いも濃く、豪華に咲き揃うので、自由に咲かせています。

八重の山吹_up


 八重山吹

 
 実が
 ならないんです




この 八重山吹 を観ると、必ず思い出されるのが、
紅皿(べにざら)と太田道灌(どうかん)の花の物語   です。

  道灌が、鷹狩りに出かけ、にわか雨にあい、
  とある一軒家の農家に立ち寄って雨宿りをし、
  蓑(みの)を貸して欲しいと頼んだところ、
  貧しい農家の娘(紅皿)は、
  蓑の代わりに庭に咲いていた山吹の一枝を黙って捧げた。

 
 
    なヽへ八重 花は咲けども 山咲の        
         みのひとつだに なきぞあやしき
 
                                       (後拾遺集 )

さし出された 山吹 には、
古歌にある、「 みのひとつだに   重要な掛け言葉になっているのですが、道灌はそれが詠みとれなかったんですネ。




一重の 山吹 は、
毎年、膝(ひざ)の高さ位に刈り込んでしまうので、どうしても花数は少なくなりますネ~

一重の山吹






一重の山吹_up



 5弁の
 一重咲き

 こちらは
 実がなります




でも、
いつも刈り込んでしまうので未だに実を見たことが有りません。 (>_<)




ところで、
時代劇に出てくる 山吹色 ってあまりいい方に引用されないですよネ。

  お代官さま、山吹色のお菓子に御座います ・・・
   「 越後屋、おぬしも悪よの~
        ・
        ・

お後がよろしいようで ・ ・ ・