双子の 【 小面(こおもて) 】 の彫りが完成しました。
以前から頼まれていたものと、
先月の能面展で新たに頼まれたもの、
二面を一気に彫り上げました。
【 小面 】 の“ 追い彫り ” です。
どっちがお姉さんか って ??
面裏の漆処理が完了した状態
左の 【 小面 】 が、お姉さんですネ。
10日程早く彫りあがったので ・ ・ ・ (笑)
さて今回は、
久々に 「 能と面の花物語 」 です。
鬘能(かずらのう : 三番目物)に、
霊に憑かれた菜摘女 と 静御前(しずかごぜん) の亡霊が、
美しい装束を身に纏い、
寸分違わず相舞う曲があります。
静御前 の義経への恋慕の情を見せる美しくも
幻想的で不思議な曲の 《 二人静 》 のお話です。
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
大和の国、吉野の菜摘川で、
神事に供える若菜を菜摘女(ツレ)が摘んでいると、
一人の里の女(前シテ)が現れ、
吉野に帰ったら神職に一日写経して
自分を供餐してくれるよう伝言して欲しいと云います。
菜摘女と静の霊が
懸ける 【 小面 】
双子の 【 小面 】
のモデル面
赤鶴の【 小面 】写し
菜摘女が名を間うと、里の女はそれには答えず、
「 もし疑う人があれば、
その時自分があなたに憑いて名を明かす 」 と
言い残して、消えうせます。
・ ・ ・ ・ ・ ・ 中間 ・ ・ ・ ・ ・ ・
立ち帰った菜摘女は神職に話しますが、
神職が、ふと疑いの言葉を漏らしてしまいます。
するとたちまち菜摘女に霊が取り付き、
神職が霊に名を問うと 静御前 であると
ほのめかします。
静御前 の霊であると知った神職は、
舞を所望し、跡を弔うことを約束します。
取り憑かれた菜摘女が昔の舞衣装をつけて
舞いはじめると、
静の亡霊(後シテ)も同じ衣装で現れ、
影の様に舞ます。
菜摘女と静の
霊の相舞
Webサイトより借用
二人は義経の吉野落ちの様子を語り、
源頼朝の命で舞った「序之舞」を再び舞って見せ、
回向を頼んで霊は消えます。
『 物ごとに憂き世のならひなればと、
思ふばかりぞ山桜、雪に吹花の松風、
静の跡を弔ひ給へ、静の跡を弔ひ給へ 』
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
能の物語は、
正月七日の神事の為の菜摘時期ですが、
今、近くの山では “ 二人静 ” が咲いています。
千両(せんりょう)科の多年草
2本の花穂の先に米粒の様な
白花(雌しべを包む雄しべ)をつける。
二本の花穂を 静御前 と その亡霊の舞い姿に喩えて
名付けられた野草です。
ひっそりと咲くの花は
四枚の葉の上に、白い花穂が仲良くニっ寄り添うよう
に咲いています。
吉野の山奥で、
源頼朝に追われて奥羽に逃れる源義経と、
静御前 は涙の別れをしました。
そのあとに咲いたのがこの花であるとか ・ ・ ・
確か、
中森明菜の歌に 「 二人静 」 と云う曲が有りましたネ~
「 殺(あや)めたいくらい 愛し過ぎたから ・ ・ ・
添い寝して 永遠に抱いていてあげる ・ ・ ・ ♪ 」
艶っぽい低音、
恐ろしくも悲しい女心は、演歌の心境です。
双子の 【 小面 】 は、近々嫁入りです。
面裏の漆(うるし)が完全に乾いたら、
嫁入り前のお化粧(彩色)を施します。
どんな、表情に仕上がりますかネ~
< シリーズ : 能と面の花物語 >
・ 第9回 能楽「箙(えびら)」 と 梅 ’12 3/ 8 ☞ こちら
・ 第8回 能楽「紅葉狩」 と 紅葉 ’11 11/11 ☞ こちら
・ 第7回 能楽「菊慈童」 と 菊花 ’11 10/20 ☞ こちら
・ 第6回 能楽「井筒」 と 尾花 ’11 9/ 2 ☞ こちら
・ 第5回 能楽「半蔀」 と 夕顔 ’11 8/ 4 ☞ こちら
・ 中間 狂言「千鳥」 と 千鳥草 ’11 6/23 ☞ こちら
・ 第4回 能楽「杜若」 と 菖蒲? ’11 6/17 ☞ こちら
・ 第3回 能楽「石橋」 と 牡丹 ’11 5/ 6 ☞ こちら
・ 第2回 能楽「桜川」 と 桜 ’11 4/ 1 ☞ こちら
・ 第1回 能楽「東北」 と 梅 ’11 3/11 ☞ こちら
以前から頼まれていたものと、
先月の能面展で新たに頼まれたもの、
二面を一気に彫り上げました。
【 小面 】 の“ 追い彫り ” です。
どっちがお姉さんか って ??
面裏の漆処理が完了した状態
左の 【 小面 】 が、お姉さんですネ。
10日程早く彫りあがったので ・ ・ ・ (笑)
さて今回は、
久々に 「 能と面の花物語 」 です。
鬘能(かずらのう : 三番目物)に、
霊に憑かれた菜摘女 と 静御前(しずかごぜん) の亡霊が、
美しい装束を身に纏い、
寸分違わず相舞う曲があります。
静御前 の義経への恋慕の情を見せる美しくも
幻想的で不思議な曲の 《 二人静 》 のお話です。
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
大和の国、吉野の菜摘川で、
神事に供える若菜を菜摘女(ツレ)が摘んでいると、
一人の里の女(前シテ)が現れ、
吉野に帰ったら神職に一日写経して
自分を供餐してくれるよう伝言して欲しいと云います。
菜摘女と静の霊が
懸ける 【 小面 】
双子の 【 小面 】
のモデル面
赤鶴の【 小面 】写し
菜摘女が名を間うと、里の女はそれには答えず、
「 もし疑う人があれば、
その時自分があなたに憑いて名を明かす 」 と
言い残して、消えうせます。
・ ・ ・ ・ ・ ・ 中間 ・ ・ ・ ・ ・ ・
立ち帰った菜摘女は神職に話しますが、
神職が、ふと疑いの言葉を漏らしてしまいます。
するとたちまち菜摘女に霊が取り付き、
神職が霊に名を問うと 静御前 であると
ほのめかします。
静御前 の霊であると知った神職は、
舞を所望し、跡を弔うことを約束します。
取り憑かれた菜摘女が昔の舞衣装をつけて
舞いはじめると、
静の亡霊(後シテ)も同じ衣装で現れ、
影の様に舞ます。
菜摘女と静の
霊の相舞
Webサイトより借用
二人は義経の吉野落ちの様子を語り、
源頼朝の命で舞った「序之舞」を再び舞って見せ、
回向を頼んで霊は消えます。
『 物ごとに憂き世のならひなればと、
思ふばかりぞ山桜、雪に吹花の松風、
静の跡を弔ひ給へ、静の跡を弔ひ給へ 』
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
能の物語は、
正月七日の神事の為の菜摘時期ですが、
今、近くの山では “ 二人静 ” が咲いています。
千両(せんりょう)科の多年草
2本の花穂の先に米粒の様な
白花(雌しべを包む雄しべ)をつける。
二本の花穂を 静御前 と その亡霊の舞い姿に喩えて
名付けられた野草です。
ひっそりと咲くの花は
四枚の葉の上に、白い花穂が仲良くニっ寄り添うよう
に咲いています。
吉野の山奥で、
源頼朝に追われて奥羽に逃れる源義経と、
静御前 は涙の別れをしました。
そのあとに咲いたのがこの花であるとか ・ ・ ・
確か、
中森明菜の歌に 「 二人静 」 と云う曲が有りましたネ~
「 殺(あや)めたいくらい 愛し過ぎたから ・ ・ ・
添い寝して 永遠に抱いていてあげる ・ ・ ・ ♪ 」
艶っぽい低音、
恐ろしくも悲しい女心は、演歌の心境です。
双子の 【 小面 】 は、近々嫁入りです。
面裏の漆(うるし)が完全に乾いたら、
嫁入り前のお化粧(彩色)を施します。
どんな、表情に仕上がりますかネ~
< シリーズ : 能と面の花物語 >
・ 第9回 能楽「箙(えびら)」 と 梅 ’12 3/ 8 ☞ こちら
・ 第8回 能楽「紅葉狩」 と 紅葉 ’11 11/11 ☞ こちら
・ 第7回 能楽「菊慈童」 と 菊花 ’11 10/20 ☞ こちら
・ 第6回 能楽「井筒」 と 尾花 ’11 9/ 2 ☞ こちら
・ 第5回 能楽「半蔀」 と 夕顔 ’11 8/ 4 ☞ こちら
・ 中間 狂言「千鳥」 と 千鳥草 ’11 6/23 ☞ こちら
・ 第4回 能楽「杜若」 と 菖蒲? ’11 6/17 ☞ こちら
・ 第3回 能楽「石橋」 と 牡丹 ’11 5/ 6 ☞ こちら
・ 第2回 能楽「桜川」 と 桜 ’11 4/ 1 ☞ こちら
・ 第1回 能楽「東北」 と 梅 ’11 3/11 ☞ こちら