雅勒の場合、

能楽を観る際、どうしても掛けている

(おもて) に目が行ってしまいます。


能の演目やシテ(主役)を演じる

能楽師の流派などから、

ある程度の察しはつくのですが

女面 」 の場合、

なかなか見極めの付かない時もあります。

( まだまだ、能への執着が不足かも ・ ・ ・ ? )


又、能面展に来られる方で、

「 女面って、みんな同じに見えてしまう 」 と云う

方もいらっしゃいます。


ごもっとも   

素人の打った能面ですから、

面を見て名前が判る程の出来ばえではないので、

当然ですよネ~ (笑)



このような時には、

髪の “ 毛書き ” に注目すると判り易いですヨ 

女面の鬘(かずら)や髪の毛の書き方で

” の名前が判ります。


女面の場合、一般的には毛の 本数が増えるほど、

また乱れるほど年嵩(かさ) が増したことを現します。



小面(こおもて) 】 は、

若い女を主人公にする演目の多くに使われます。

現代の女性でいえば15,6歳でしょうか・・・

小面
   清楚で整然と添い並ぶ
   三本の毛書き が 【 小面
   の特徴 (一段毛書)


  


        各流派で幅広く
        使われます






万媚(まんび) 】, 【 若女(わかおんな) 】,

増女(ぞうおんな) 】, 【 孫次郎(まごじろう) 】 等は、

小面よりもう少し年嵩が増した女性です。


万媚
 
  万媚

   額中央から三本出て、
   途中で外側の一本が
   途中から他の二本の
   中に入り込む








 
若女
  【 若女

   額中央から二本出た、
   流れ髪の途中に二段
   のほつれ髪が特徴


         観世流の
           代表面




 
節木増
  【 増女

   額中央から二本出た、
   流れ髪が本体の髪に
   合体し、さらに途中から
   の三本の流れ髪が頬ま
   で流れ、
   それをまたぐほつれ髪が
   合わさる、三段毛書きが
   特徴



孫次郎
  【 孫次郎

   額中央から二本出た、
   流れ髪の途中から
   さらに二本流れ髪が
   追加される特殊な
   毛書きが特徴


         金剛流の
           代表面






さらに、年嵩が増し中年女性の 【 深井(ふかい) 】 や

曲見(しゃくみ) 】 は増女と同じ三段毛書きですが、

ほつれ毛の本数が多くなったり、

流れ髪がこめか辺りから流れ出るのが特徴となります。



深井曲見














       【 深井 】           【 曲見 】:
烏丸氏のHPより 



さらに年は嵩み、 《 高砂(たかさご) 》 のツレが掛ける

(うば) 】 は本数もずっと増え、

白髪交じりの毛書きになります。


姥















また別に、オクレ毛(長さの短い毛)を乱すことで、

すさまじさを出した 【 増髪(ますかみ) 】 や

泥眼(でいがん)
】 があります。


増髪泥眼













       【 増髪 】               【 泥眼




毛書き用の筆は、

軟らかくて腰のしっかりした面相(めんそう)筆や

蒔絵(まきえ)筆を使います。


毛書き用の筆

この作業が一番神経を使いますネ~ 




能楽や能面展示会などを観に行かれた際、

能面のことがチョットだけわかっていると

益々興味が出ると思いますが、

いかがでしたでしょうか   







   能・狂言面の詳細説明は
   HP 『 雅勒の庵
』 の 「 作品展示室 」 を覗いて見て下さい
                               ☞  こちら