雅勒の散歩路

能面師「雅勒(がろく)」が 能楽・能面及び、花木や野鳥・蝶等に関するHP番外編の記事を
“散歩”のような気軽な気持ちで、不定期に掲載しています。

型紙

今年のテーマ【顰】の試作 5

能面教室の今年のテーマの能面、

(しかみ) 】の試し彫りが完了しました。



すでに、

型紙と参考画像は生徒さん達に配布済みですが、

実際に打ったものから更に型紙に修正をかけます。

型紙の変更












確かに、平面図と縦型の型紙と参考画像だけで

面を完成させるのは難しいので、生徒さんの製作

に先駆けて、見本として試作したものです。



P3261126









   伝 赤鶴作 写し
        【

伝赤鶴 写し【顰】_彫りの完成


























暫くは、

生徒さん達の参考用として、教室に常備しますが

いずれは、彩色して完成させる予定なので

面裏には、雅号 も彫り込んでいます。


面裏


















ちなみに、この号は三代目で

当初は、

名前(雅昭)の一文字の焼き印を使っていました。

焼印デザイン






      焼き印の
      デザイン



初代の号
















次は、

福井県池田町の能面公募展で佳作を頂いたのを機に

弥勒菩薩 (ろく) を頂いて 雅勒(がろく) の号を

使わせて頂いています。


少し、恐れ多いのですが ・ ・ ・ 

img034









二代目の号
















 「 (くつわ) 」とは、頭絡(とうらく)という馬や牛の頭部に

取り付ける馬具のことですが、

“ 彫る ” とか “ 刻む ” をいう意味も持っていますので、

(みやび)(彫る) 」 を号にしました。



そして今は、草書体にしています。

img490









 スナックで知り合った
 書道家の手によるもの



雅号の彫り




















 < 過去の関連記事 >

   ・今年のテーマ【顰】      ’14  2/ 5  こちら



トレースライト 4

能面教室の今年のテーマ打ちを予定してる、

(しかみ) 】 の型紙作りに追われています。



この、

型紙作り必要な道具の一つが、“ トレースライト です。



雅勒 が能面打ちを始めて数年後、

写真集から見つけた能面の型紙を自分で作る時

必要に迫れ、トレースライトをあちこちで探しました。



当時、

蛍光管の内臓されている トレースライト のA4サイズの

ものが1万円以上していた頃です。

厚みも数cm以上あり、これがA3サイズとなると ・ ・ ・



色々と思いあぐねて、

自作に踏み切ることにしたのが、この トレースライト


自作のトレースライト



最大厚 30mmの超薄型のA3サイズ用です。

材料費、数千円で出来ましたぁ~ 



厚さにこだわっていたので、

秋葉原の電気街で見つけた、冷陰極管(8mmΦ)の

インバ-タキット
を内蔵しました。

冷陰極管とインバータセット




      キットと
      回路図



冷陰極管とインバータ


内部は、少しでも光量がガラス面に届くように

キッチン用アルミ箔を揉んで貼りつけています。



一応光量を調節出来る

ボリューム 点灯スイッチ を回路に組み込んで ・ ・ ・

ボリュームとSW(外観)









ボリュームとSW(内部)













点灯時はこんな様子です。

点灯時の光量

電源(DC12V)





    電源(ACアダプター)
    DC12V

     




これから製作予定の能面の平面図をトレース

P1020923


2本で12Wと、光量不足は否めないですが

まあまあ、使えていますヨ~ 



この自作 トレースライト の光量アップを

薄型のLEDランプの連結で考えていたのですが ・ ・ ・




色々とネットなどで調べてみると、

理想の  トレースライト が見つかりました。


市販のトレースライト_LED



 LED(70個)
 USBバスパワー
 A3サイズ
 1万円弱




時代の趨勢ですかネ~ 



自作の トレースライト の陰極管の寿命がきたら、

早速買いですが ・ ・ ・


それまでは、

愛着のある道具を大事に使っていきたいですネ~




「面(おもて)を打つ」_木取り 3

これから製作する男面の 十六中将 を、彫りから彩色までの過程を随時紹介していきます。


雅勒 の持っている能面教室では、最初に習う面は
小面(こおもて) で、初心者の場合は月2回(3時間/回)
のペースで45時間で完成させるように指導しています。

勿論、
教室の時間外での作業がかなりのウエイトを占めますので、実際のトータル時間はもっと長くなるでしょうね。


製作工程は大きく分類すると
 木取り ⇒ 荒取り ⇒ 中彫り ⇒ 小作り&仕上げ
で彫りが完成します。

彩色は
 面裏処理 ⇒ 下塗り ⇒ 上塗り ⇒ 彩色 ⇒ 毛書き
で一面完成です。

尉系の【 小牛尉(こうしじょう) や鬼神系の【 獅子口(ししぐち)】,怨霊系の【 般若(はんにゃ)】 などは
さらに、髪・髭などの植毛や眼・歯列の金冠などの細工作業が加わりますのでもっと時間と技術が必要になります。




(おもて)の製作にあたり、
参考にするモデルをきめます。

同じ面でも、作者によっては表情や彩色はさまざまです。

池田家伝来「能面」
 池田家伝来
 『能面』(写真集)



P8090518




 大野出目家
 第6代 甫閑(ほかん)
          【十六







堀安衛門「能面打ち-上」
  堀安右衛門
  『能面打ち_上』 


十六中将_堀安右衛門







⇐ 伝 龍右衛門 写し
   堀安右衛門 作
     【十六中将





梅若六郎家「能の華」
 梅若六郎家
 『能の華』(図録)

十六中将_梅若「能の華」







 十六中将】本面





このように参考とする面の画像を見比べて、モデルとなる面を決定します。

最終的に、
堀安右衛門著の『能面打ち_上』に掲載されている型紙を参考にさせてもらい、
型紙








梅若六郎家 能の華 の【十六中将】本面をモデルにして打つことにしました。



それでは、
まず最初の工程の 木取り です。

 1).面裏となる檜の面材で、面裏となる方を鉋(かんな)
     を掛けます。
   
           能面材には柾目(まさめ)と板目(いため)がありますが、
      大体は柾目の材を使用します。

            面表                  面表
           ↓                 ↓
板目
柾目

            柾目                  板目


     一般に、木裏(樹心に近い方)を「面の表」としているが、
     古面にはその反対に、「木裏」を「面裏」としているもの
      もある。


 2).面材の縦方向の中心線を引き、
     平面と縦型の型紙で材の両面に製図します。

平面の製図












     【十六中将】の基本サイズ
      縦        ・・・・  6寸9分   (208mm) 
      横        ・・・・  4寸6分 (138mm)
      厚(鼻の頂点)  ・・・・  2寸2分 ( 67mm) 



     能面の大きさは「女面」を基準とし、
      【小面】が標準になっている。

      縦        ・・・・  7寸   (212mm)
      横        ・・・・  4寸5分  (136mm)
      厚(鼻の頂点) ・・・・  2寸3分 ( 70mm)

      「タテ7寸」は当時の日本人の平均身長(5尺5寸)から
      きているとも云われている。




 3).鋸(のこぎり)を使って、余分な部分を落とします。

木取り













 3).叩きノミや突きノミで、面裏と面表が垂直になる
     ように側面を均(なら)します。

側面の製図











     この過程が重要で、
      ここは、型紙通りに平面を決める。

      出来上がりの面の輪郭の美しさを求めて・・・




 4).次の工程で、縦型に合わせて打ちだす為
     側面の製図をします。

各部位の厚み









側面の製図_a













このような手順で、平面の 木取り の半分が完了します。


今回は、ここまで 
次はお盆明けになるでしょうかネ 




明日は、
片道200Kmの運転で墓掃除に行ってきます。 






 < 過去の関連記事 >
 
   ・ 「秘すれば花」 と云うけれど    ’12  8/7  ☞ こちら

能・狂言面の型紙 3

能楽は、平安~鎌倉時代の舞楽や田楽を起源として、
室町時代に猿楽さるがく:申楽)曲舞(くせまい)という音楽を取り入れた 観阿弥(かんあみ)と、息子の 世阿弥(ぜあみ)により、更に芸術性の高い歌舞主体の芸に磨き上げられ、今に至っています。


能面の多くは室町時代末期に創成され、ほぼ完成していたようです。

能面師は、この時代に完成して型の決まった面を “ 本面(ほんめん) ” と呼び、その後は、その原型を継承していきます。

安土桃山~江戸時代には更に円熟し、一定の型が決まり各流派ごとに曲によって使われる能面が固定しました。

それ以降は、 “ 写しの能面 ” が作られ、新しい能面が創作されることはほとんどなかったようです。

写しの能面 ” を より本面に近づける工夫がされ、考案されたものが 『 型紙 』 です。



面を打ち始めた当初は、師事する先生から 型紙 を頂いたり、写真集に付随されている 型紙 をもとに習作を作っていましたが、
今では、序々に、型紙の無い能・狂言面創りにも挑戦して、
何とか、写真だけを便りに面を打つ事が出来るようになりましたネ



この狂言面の鳶(とび)もその一つです

鳶_狂言面
 ⇐ ’07 第7回
   「能面の祭典」に
   出展したもの
       ( 佳作 )










写真集
  参考にした写真集 ⇒

   山本東次郎家
     「狂言の面」








写真から、
基本となる平面と縦型の 『 型紙 』 だけは作ります。

基本型
 基本の『 型紙 』 ⇒

  眉・目・鼻・口は
  デッサンします












後はひたすら、写真とにらめっこしながら打ち進めていきます   

彩色も写真の色合いを見て再現します。
( 本面を見て色彩感覚が掴めればいいのですが ・ ・ ・  )




能面教室で、この狂言面を打って見たいと云う希望者がいたので真剣に型紙作りに取り組みました。

まずは、
ポイントとなる各部分の高さと横位置の関係を測定します。

測定
 ⇐ 手作りの
  三次元測定器
  
  各部を測り、
  平面図に記載する



測定結果


 横の基準
  (赤線部)
  ・ 額(ひたい)
  ・ 眉の上
  ・ 目上
  ・ 目
  ・ 目下
  ・ 鼻の付け根
  ・ 口ばし
  ・ 顎(アゴ)







測定した高さと横位置から、グラフ用紙にプロットして概略型を描きます。

概略型



概略型抜き




 厚手の紙にトレースして
 カッターで切り抜きます。



型調整のバリ取り


 ⇐ 切り取った後の
   バリ取り
  



型の微調整_a





  細かな部分は、
  小さなハサミで  ⇒





何度も、実物の面に合わせてながら型紙を調整していきます。

型合わせ



型の微調整_b




  微調整は、
  サンドペーパーで ⇒




こうして、額~顎(あご)までの横型紙を作っていきます。

とにかく、根気のいる作業ですぅ~ (>_<)

横型
 ⇐ 各部の横型紙
   ・ 眉の上
   ・ 目
   ・ 口ばし



 
横型の完成

 









これで、すべての部分の型紙の出来上がりです。




能面教室の教材にするため、
出来あがった型紙をA3サイズに写しとり編集します。

型紙の写し



型紙_教材










教材にする平面図には、

ポイントとなる凹凸部の高さを明記するため
再度、測定して平面図に追記します。

測定器_b
 ⇐ 凹凸部の
   微妙な部分を
   再測定



測定器_ba





  これも、手作りの測定器で、
  小学校で使うコンパスの針を
  接触部に利用しています。 ⇒




平面型紙_教材
 ⇐ 完成した
    平面図
 














教材_側面のデッサン
 参考資料用の
 側面イメージ図
         ⇒









最後に、狂言面の鳶(とび)の解説文と彩色手法の説明を付けて教材も完成です。 

教材_解説文






















近代では、個々の能面師により独創性な創作面が創られるようになりました。

それも、後何百年もすると、その時代を代表する本面になるかも知れませんネ 






  < 過去の関連記事 >         
   ・ 
能楽「鞍馬天狗」と面(おもて)  
’11 3/3   ☞  こちら 






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