梅雨の一時の晴れ間に、
カラッとした笑いの “ 狂言 ” はいかがでしょうか

そろそろ、千鳥 の群れ遊ぶ海辺の潮風が欲しい時期でもありますし~

⇐ 浜千鳥

Wikipedia より
日本では万葉の時代より、
水辺に群れる小鳥たち、とりわけチドリなどの仲間を
千鳥 と呼び、親しんできたようですネ。
多数が群れることを 「 千の鳥 」 ともいい、また「チ」は鳴き声に由来するとも云われます。
古くは万葉集でも、千鳥 を詠み込んだ歌が多数知られています。
淡海(おうみ)の海(み)
夕波千鳥
心もしのに
- 柿本人麻呂 -
また、古今和歌集と金葉和歌集の 千鳥 を詠んだ歌を元にした箏曲 「 千鳥の曲 」 も有名ですネ~

狂言にも 《 千鳥 》 と云う演目がありますよ

・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
太郎冠者(たろうかじゃ:シテ)は、
主人から、またツケで酒を買って来いと命じられます。
その酒屋には支払いが溜まっているので、
「 今までのツケを払わなければ酒はやれない 」 と
言われます。
太郎冠者は
「 今日の酒樽分の代金は持参したから 」 と
酒樽を出させました。

茂山千五郎家HPより借用 ↑
そして最近、来なかったのは主人のお供で尾張の津島祭を見物に行ったからで、
「 それはそれは面白い祭りであった 」 と語ります。
そう聞かされた話好きの酒屋は、
祭りの様子が聞きたくて話しに引き込まれて行きます。
祭りへ行く途中の伊勢の浜辺で、子供が被せ物をして、千鳥 を捕まえる様子を話します。
酒屋に 「 浜千鳥の友呼ぶ声は~ 」 と囃させ、
自分は 「 チリチリヤ、チリチリ 」 と謡いながら ・ ・ ・
酒樽を 千鳥 に見立てて持って行こうとするが、見咎(みとが)められてしまします。

茂山千五郎家HPより借用 ↑
次に津島祭で山鉾(やまほこ)を引き回す様子を見せようと、
これも酒樽を山鉾に見立てて綱で引き寄せますが、成功しません。
最後には流鏑馬(やぶさめ)の模様に話を替え、
馬に乗った振りをして走り回りながら、やっとのことで酒樽を奪って逃げだします。
「 何とも、またしてもやられた 」 と、
気が付いた酒屋は、
「 やるまいぞ、やるまいぞ、・・・ 」 と
云いながら太郎冠者を追い込みます。
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
さて、
狂言の 《 千鳥 》にはまったく関係ないのですが、
“ 千鳥 ” つながりで、庵に咲く 千鳥草(ちどりそう) を紹介しましょう。



白の千鳥草
蕾も鳥の姿ですネ

この花、古風な名前ですが
実はヨーロッパ原産の洋花のデルフィニウムですヨ~

別名で 「 飛燕草(ひえんそう) 」 とも呼ばれます。
キンポウゲ科の一年草で、
毎年この時期にこぼれた種子から涼しげな花を咲かせてくれます。

< 過去の関連記事 >
・ 狂言「節分と面(おもて)」 ’10 2/1 ☞ こちら
< シリーズ : 能と面の花物語 >
・ 第4回 能楽「杜若」 と 菖蒲? ’11 6/17 ☞ こちら
・ 第3回 能楽「石橋」 と 牡丹 ’11 5/ 6 ☞ こちら
・ 第2回 能楽「桜川」 と 桜 ’11 4/ 1 ☞ こちら
・ 第1回 能楽「東北」 と 梅 ’11 3/11 ☞ こちら