今年の冬の寒さは、

今までになく厳しさが永く続いたように感じますネ。


いままでは、暖冬の年が多く冬の寒さが

短く感じられたのですが ・ ・ ・

まあ、

これが本来の冬の寒さかもしれませんネ。



庵の庭の梅も、

例年に比べると一ヶ月近く開花が遅れていましたが、

ようやく 紅梅 の蕾が弾けました。

紅梅_3.08

 待ちわびた
 梅の開花










でも、“ 白梅 は未だ蕾の状態です。

白梅_3.08

   白梅の蕾 ⇒







いままでのこの季節は、

紅白の梅 が満開で、温かな気候が続いて

気持ちも穏やかになれたのですが ・ ・ ・

昨年の 大震災 を経験してからは、

この時期

 “ 心、穏やかならず といった心境です。


こうして、ブログを綴っていると、

昨年のこのシリーズ初回のブログが鮮明に

思いだされます。

能と面の花物語 」 で能 東北(とうぼく)

物語をアップしたその日の午後に、

あの大震災が起こったので何か因縁めいた

気もします。


東北 は、

あの東北地方とは全く関係無く、

京都の東北院の梅に纏わる物語なのですが

いみじくも、二文字が一致してしまいました。




そんな、3月の「 能と面の花物語 」、

今年は少し気分をかえて、

能の中の“勝修羅(かちしゅら)” 物をお届けします。



(えびら) というのは、

矢を入れて肩や腰に掛け、携帯する容器のこと。

箙を付ける


   (えびら)


箙








 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・


時は早春の頃。

場面は、西国(九州)の僧(ワキ)が都見物 のため

京へ上る途中、須磨の浦の生田(いくた)の古戦場に

差し掛かるところから始まります。



旅の僧は、生田川のほとりで、

武士の略礼装である素襖(すおう)を着て、

じっと 梅の花 を眺めている男(前シテ)と出会います。
 

その男は、
 
生田川での源平の合戦の折、

梶原景季(かげすえ)が風雅に梅を箙(えびら)にさして

戦った話や、景季の活躍にちなんで、

この梅を 箙の梅 と呼んでいる ことを語ります。




旅僧が一夜の宿を男に所望すると、

男は
 
私はこの梅の主で、梶原景季の亡霊なのだ 」 と
 
正体を明かし、どこへともなく消えて行きます。




今度は、

生前の戦(いくさ)装束で僧の前に再び現れ(後シテ)
ます。


赤平太a

  後シテの景季の
  亡霊
が懸ける 
  【赤平太】の面 ⇒






月岡耕漁_能絵(箙)





 梅の花枝を挿した
 後シテが登場
 




 月岡耕漁の能絵(Web画像



殺生(せっしょう)を生業(なりわい)とした

武士の宿命として、

修羅道に堕ち苦しんでいる様を僧に見せ

回向(えこう)を頼み、朝日とともに姿を消す。




                     ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・


    


この の謡曲の中に、
 
   飛花落葉の無常はまた、
        常住不滅の栄をなし ・ ・ ・
 
とあります。


昨年のこの月に起きた“天災地変”は、

まさに、“  飛花落葉(ひからくよう) ” のごとく

絶えず移り変わるこの世の、

無常さを思い知らされます。





  < シリーズ : 能と面の花物語 >
    
    ・ 第8回 能楽「紅葉狩」 と 紅葉   ’11 11/11   ☞ こちら
     ・ 第7回 能楽「菊慈童」 と 菊花   ’11 10/20   ☞ こちら
     ・ 第6回 能楽「井筒」 と 尾花     ’11 9/ 2   ☞ こちら
     ・ 第5回 能楽「半蔀」 と 夕顔        ’11 8/ 4   ☞ こちら
     ・ 中間  狂言「千鳥」 と 千鳥草       ’11 6/23   ☞ こちら 
     ・ 第4回 能楽「杜若」 と 菖蒲?    ’11 6/17  ☞ こちら 
     ・ 第3回 能楽「石橋」 と 牡丹  
  ’11 5/ 6   ☞ こちら 
     ・ 第2回 能楽「桜川」 と 桜    
   ’11 4/ 1   ☞ こちら
     
・ 第1回 能楽「東北」 と 梅       ’11 3/11   ☞ こちら