教室の生徒さんの一人が、人に頼まれたので
【 白式尉 】 を3面打ちたいとのことで ・ ・ ・
それならと、
製作時間も短縮できる小振りの 【 白式尉 】 として、
参考となる面を急遽打った次第です。
面裏は、
さざ波の模様彫り
顎を切れば
彫りの完成
この小振りの日光作 【 白式尉 】 は、
今回のモデル面
伝 日光作
17.5×14.1×5.7
厚みが5.7cmと薄く
彫りはなかなか難しい
「能のおもて」 玉川大学出版部 より
雅勒 が師事した、故 藤田朧雲(ろううん)師も打っていて
故 朧雲作の
【 白式尉 】
洗い彩色 を施した素晴らしい面でしたので
いずれ、雅勒 も打ってみたいと思っていたものです。
本来、 【 白式尉 】 は
能面を習い始めて2作目位に製作する面なのですが
雅勒 も “ 初心 ” の言葉を噛みしめながら、
再び打ってみました。
『 世阿弥の奥義 - 初心不可忘 - 』
世阿弥が言う “ 初心 ” は 「 最初の志 」 に限られては
いません。
世阿弥は、人生の中にいくつもの “ 初心 ” がある
と言っています。
・ 是非とも初心忘るべからず
(是非によらず、修行を始めたころの初心忘るべからず)
・ 時々の初心忘るべからず
(修行の各段階ごとに、各々の時期の初心忘るべからず)
・ 老後の初心忘るべからず
(老後に及んだ後も、老境に入った時の初心忘るべからず)
これを能面打ちに例えて言えば、
能面製作の習いたての “ 若い時の初心 ” とは、
具体的には能面製作を始めて数年程のことでしょう。
人に能面打ちを教えるようになったころが、
“ 時々の初心 ” の時。
そして、
年老いてある程度の面打ちの極みにまで達しても、
これで良いと言えるような到達点はないと思います。
たとえ達人の境地に達したとしても、
その境地に足を踏み入れた時点で、
それはそれで新たな “ 初心 ” なのです。
それが、“ 老後の初心 ” ではないかと思います。
雅勒 の境地としては、
今は “ 時々の初心 ” の修練の真っ最中です。
“ 老後の初心 ” はまだまだ、先の先
そう思いたい今日この頃です。