能の二番目物は「修羅物(しゅらもの)」,「修羅能(しゅらのう)」とも呼ばれます。
修羅能とは、戦(いくさ)の罪により修羅道に堕ちた武将などが主人公となる演目のことで、負け戦の主人公が登場するものを負修羅(まけしゅら)と云い、 勝ち戦の主人公が登場するものを勝修羅(かちしゅら)と呼ばれます。
武将は殺生(せっしょう)を繰り返した罪で、死後は戦いに
あけくれる“修羅道”へ堕ち、苦しみ続けると考えられて
いました。
今回は、源平の戦乱に引き裂かれた夫婦の悲劇の演目、【清経(きよつね)】に付いて語りましょう。
時は秋、
『小面(こおもて)』の面を掛けた、平清経の妻(ツレ;主人公や脇役に連れられて登場する人物)が登場して、脇座に着くと、
清経の家臣である淡津の三郎が、豊前(ぶぜん)の国(九州)柳が浦の沖で自害した平清経の形見の遺髪を届ける為に都へと戻ってきます。
⇐ ツレの平清経の妻が
掛ける『小面』
淡津三郎との
面会の場面 ⇒
清経の妻は淡津三郎から夫の訃報を聞き、討死や病死ならともかく再会の約束を破って自ら身を投げたことを怨めしく思い、悲しみにくれ、受け取った形見の黒髪を手向け返し、涙しながら床に臥します。
その夜の妻の夢に清経の霊(シテ;主人公)が在りし日の姿で現れ、
願をかけた宇佐八幡に見放されたこと、敵に追われ舟に飛び乗ったが望みを失い、ついに決意して入水した最期の有様を語ります。
⇐ シテの平清経が
掛ける『中将』の面
戦いの有様を舞う
清経の霊 ⇒
↑ 栗谷能の会のHPより
使わせて頂きました
そして、
修羅道の戦いの有様を見せた後、最期の時に十念を唱えた功徳により成仏できたことを伝えて、消えて行きます。
通常の【屋島】、【敦盛】などの修羅物は
「シテが化身で旅僧の前に現れ、後場で正体を現して修羅道の苦しみを救ってもらう」と云う構成ですが、【清経】の演目では「自分で唱えた念仏の功力で成仏する」ことと、前場と後場の境が無く一場で構成されているところが特異な点です。
前場と後場の境の緊張感はないものの、場面が秋という季節に合ったしっとりとした雰囲気が持続されているように思います。
今年は、「勝修羅」の【屋島】をテーマにして、『赤平太』と『三光尉』を打っていますが、なかなかはかどりません。 (>_<)
いずれ、“雅勒の展示室”に掲載しますので ・ ・ ・
能面の詳細説明はHP『雅勒の庵』の「作品展示室」
(http://www.net1.jway.ne.jp/k_garoku/gallery.html)
を覗いてみて下さい。
< シリーズ : 面(おもて)から観る能楽 >
第2回 能楽「高砂」と面 ’10 9/30
第1回 能楽「翁」と面 ’10 8/18
修羅能とは、戦(いくさ)の罪により修羅道に堕ちた武将などが主人公となる演目のことで、負け戦の主人公が登場するものを負修羅(まけしゅら)と云い、 勝ち戦の主人公が登場するものを勝修羅(かちしゅら)と呼ばれます。
武将は殺生(せっしょう)を繰り返した罪で、死後は戦いに
あけくれる“修羅道”へ堕ち、苦しみ続けると考えられて
いました。
今回は、源平の戦乱に引き裂かれた夫婦の悲劇の演目、【清経(きよつね)】に付いて語りましょう。
時は秋、
『小面(こおもて)』の面を掛けた、平清経の妻(ツレ;主人公や脇役に連れられて登場する人物)が登場して、脇座に着くと、
清経の家臣である淡津の三郎が、豊前(ぶぜん)の国(九州)柳が浦の沖で自害した平清経の形見の遺髪を届ける為に都へと戻ってきます。
⇐ ツレの平清経の妻が
掛ける『小面』
淡津三郎との
面会の場面 ⇒
清経の妻は淡津三郎から夫の訃報を聞き、討死や病死ならともかく再会の約束を破って自ら身を投げたことを怨めしく思い、悲しみにくれ、受け取った形見の黒髪を手向け返し、涙しながら床に臥します。
その夜の妻の夢に清経の霊(シテ;主人公)が在りし日の姿で現れ、
願をかけた宇佐八幡に見放されたこと、敵に追われ舟に飛び乗ったが望みを失い、ついに決意して入水した最期の有様を語ります。
⇐ シテの平清経が
掛ける『中将』の面
戦いの有様を舞う
清経の霊 ⇒
↑ 栗谷能の会のHPより
使わせて頂きました
そして、
修羅道の戦いの有様を見せた後、最期の時に十念を唱えた功徳により成仏できたことを伝えて、消えて行きます。
通常の【屋島】、【敦盛】などの修羅物は
「シテが化身で旅僧の前に現れ、後場で正体を現して修羅道の苦しみを救ってもらう」と云う構成ですが、【清経】の演目では「自分で唱えた念仏の功力で成仏する」ことと、前場と後場の境が無く一場で構成されているところが特異な点です。
前場と後場の境の緊張感はないものの、場面が秋という季節に合ったしっとりとした雰囲気が持続されているように思います。
今年は、「勝修羅」の【屋島】をテーマにして、『赤平太』と『三光尉』を打っていますが、なかなかはかどりません。 (>_<)
いずれ、“雅勒の展示室”に掲載しますので ・ ・ ・
能面の詳細説明はHP『雅勒の庵』の「作品展示室」
(http://www.net1.jway.ne.jp/k_garoku/gallery.html)
を覗いてみて下さい。
< シリーズ : 面(おもて)から観る能楽 >
第2回 能楽「高砂」と面 ’10 9/30
第1回 能楽「翁」と面 ’10 8/18