雅勒の散歩路

能面師「雅勒(がろく)」が 能楽・能面及び、花木や野鳥・蝶等に関するHP番外編の記事を
“散歩”のような気軽な気持ちで、不定期に掲載しています。

能・狂言面製作工程

「面(おもて)を打つ」_荒取り  3

   「面(おもて)を打つ」_木取り の続きです。
       ↑
    クイックすると、別窓で開きます。



木取り の次は、縦(側面)の形状を作る工程で
叩きノミを使って “ 荒取り(コナシ) をします。



 1).面表の各部位の横線毎に、鋸(ノコギリ)
    “ 限界位置 まで切り込みを入れる。

縦を切込む_8.12

   




縦型の切込み_8.13



⇐ 2mm程の
  余裕有り






 2).鋸の切り込み位置に従い、ノミで叩いて余分な
    部分を落とし直角部を削いで滑らかにする。

表面落とし型





縦型の落し_8.13













 3).面表・側面を台形状にを削ぎ落す。

側面落とし型_2


   斜線部を
   削ぎ落す 




縦型の落し_8.13












 4).額(ひたい)と顎(あご)の余分な部分を落とす。


額を落とす_8.13













 5).目・鼻部分のコナシ

目の叩き_8.13

    目の部分




鼻部の叩き_8.13




 鼻の部分




     面表のコナシが完了
荒彫り(叩き)_8.13












 6).面裏の上(額の側)と下(顎の側)の反りを作る。

額_8.13






額の反り_8.13










      面裏の反りが完了
反り_8.13












 7).面裏を軽くすくい取りをする。

裏彫り_8.13







     以降の作業時、持ち手が出来ればいい程度に ・ ・
裏彫り(三分)_8.13



 










 8).縦型紙に従い、縦型の詳細合わせをする。

縦型の精度_8.14


   コナシただけでは
   縦型と合っていない




     この精度まで合わせる
フィットする縦型_8.15



 









荒取りの段階ではこの様に多少顔のイメージが出来上がります。


荒彫り完成_8.15




次の工程の 中彫り では、もっと目・鼻・口がはっきりしますヨ。








 < 過去の関連記事 >
 
   ・ 「秘すれば花」 と云うけれど    ’12  8/7  ☞ こちら



「面(おもて)を打つ」_木取り 3

これから製作する男面の 十六中将 を、彫りから彩色までの過程を随時紹介していきます。


雅勒 の持っている能面教室では、最初に習う面は
小面(こおもて) で、初心者の場合は月2回(3時間/回)
のペースで45時間で完成させるように指導しています。

勿論、
教室の時間外での作業がかなりのウエイトを占めますので、実際のトータル時間はもっと長くなるでしょうね。


製作工程は大きく分類すると
 木取り ⇒ 荒取り ⇒ 中彫り ⇒ 小作り&仕上げ
で彫りが完成します。

彩色は
 面裏処理 ⇒ 下塗り ⇒ 上塗り ⇒ 彩色 ⇒ 毛書き
で一面完成です。

尉系の【 小牛尉(こうしじょう) や鬼神系の【 獅子口(ししぐち)】,怨霊系の【 般若(はんにゃ)】 などは
さらに、髪・髭などの植毛や眼・歯列の金冠などの細工作業が加わりますのでもっと時間と技術が必要になります。




(おもて)の製作にあたり、
参考にするモデルをきめます。

同じ面でも、作者によっては表情や彩色はさまざまです。

池田家伝来「能面」
 池田家伝来
 『能面』(写真集)



P8090518




 大野出目家
 第6代 甫閑(ほかん)
          【十六







堀安衛門「能面打ち-上」
  堀安右衛門
  『能面打ち_上』 


十六中将_堀安右衛門







⇐ 伝 龍右衛門 写し
   堀安右衛門 作
     【十六中将





梅若六郎家「能の華」
 梅若六郎家
 『能の華』(図録)

十六中将_梅若「能の華」







 十六中将】本面





このように参考とする面の画像を見比べて、モデルとなる面を決定します。

最終的に、
堀安右衛門著の『能面打ち_上』に掲載されている型紙を参考にさせてもらい、
型紙








梅若六郎家 能の華 の【十六中将】本面をモデルにして打つことにしました。



それでは、
まず最初の工程の 木取り です。

 1).面裏となる檜の面材で、面裏となる方を鉋(かんな)
     を掛けます。
   
           能面材には柾目(まさめ)と板目(いため)がありますが、
      大体は柾目の材を使用します。

            面表                  面表
           ↓                 ↓
板目
柾目

            柾目                  板目


     一般に、木裏(樹心に近い方)を「面の表」としているが、
     古面にはその反対に、「木裏」を「面裏」としているもの
      もある。


 2).面材の縦方向の中心線を引き、
     平面と縦型の型紙で材の両面に製図します。

平面の製図












     【十六中将】の基本サイズ
      縦        ・・・・  6寸9分   (208mm) 
      横        ・・・・  4寸6分 (138mm)
      厚(鼻の頂点)  ・・・・  2寸2分 ( 67mm) 



     能面の大きさは「女面」を基準とし、
      【小面】が標準になっている。

      縦        ・・・・  7寸   (212mm)
      横        ・・・・  4寸5分  (136mm)
      厚(鼻の頂点) ・・・・  2寸3分 ( 70mm)

      「タテ7寸」は当時の日本人の平均身長(5尺5寸)から
      きているとも云われている。




 3).鋸(のこぎり)を使って、余分な部分を落とします。

木取り













 3).叩きノミや突きノミで、面裏と面表が垂直になる
     ように側面を均(なら)します。

側面の製図











     この過程が重要で、
      ここは、型紙通りに平面を決める。

      出来上がりの面の輪郭の美しさを求めて・・・




 4).次の工程で、縦型に合わせて打ちだす為
     側面の製図をします。

各部位の厚み









側面の製図_a













このような手順で、平面の 木取り の半分が完了します。


今回は、ここまで 
次はお盆明けになるでしょうかネ 




明日は、
片道200Kmの運転で墓掃除に行ってきます。 






 < 過去の関連記事 >
 
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