二月は “ 節分 ” の月ですネ。
もともと、節分 とは、
各季節の始まりを表す節目の暦(こよみ)で、立春・立夏・立秋・立冬の前日のことですが、
江戸時代以降、立春は四季が一周りして新たな年が始まる日とされ、その前日が大晦日と同じ意味を持った “ 節分 ” とされたようです。
節分には、
あちこちで “ 鬼 ” にまつわる様々な行事が行われます。
春の初めに蓬莱(ほうらい)の島から来る、
“ 春来る鬼 ” は、人々に祝福を与えるために来る
来訪神 と云われます。
一方、中国に起源を持つ鬼やらいの儀式で、豆を打たれて退散するのは、災いをもたらす 疫鬼(えきき) です。
能舞台で演じられる 狂言 《 節分 》 に登場する 鬼 は、
女に島の宝物を授けて、来訪神のように振る舞いますが、最後には、疫鬼 として追い払われてしまいます。
留守宅を守る女房と 鬼 とのやりとりの中で
人間の男として認めて貰おうと、必死で女を口説く 鬼 の悲哀さや、
心に 鬼 をまねく甘い誘惑に負けまいとする、女の駆け引きがみどころですが、
「 何事も、誘惑に負けずまめに働け 」
と説いているのです。
( 詳細は、狂言「節分」と面(おもて) を見て下さい )
この狂言で鬼役が掛ける、【 武悪(ぶあく) 】の面(おもて)は、
滑稽さと悲哀さを表現するに相応(ふさわ)しい面です。
京都では、
この節分行事に様々な 節分狂言 が催されます。
京都の裏鬼門を守る壬生(みぶ)寺の 節分狂言 は、
「 マメ(勤勉)に過ごせば、
鬼(不幸)を追い払うことができる 」
と云う点では、
一般的に能舞台で演じられる 《 節分 》 と同じ筋書きです。
壬生寺の
節分狂言 ⇒
お祭り入門サイトより借用 ↑
正式には 「 壬生大念佛狂言 」 と云い、
もともとは、仏教を民衆に分かりやすく教えようと、
身振り手振りで表現したことに始まると言われています。
また、
京都の各地で追われた鬼が逃げ込むとされる
北野天満宮では、
福の神が豆をまいて鬼を退治する
と云う、
各家庭で行われている一般的な “ 豆まき ” ですネ
ちょっと、変わった節分行事と云えば、
千本釈迦堂 の節分狂言でしょう。
千本釈迦堂の建立時に、
大工の棟梁(とうりょう)である夫を助けた妻“おかめ”
をまつり、
節分行事では、おかめと鬼が境内を練り歩き狂言
を演じます。
まかれる豆に屈しない鬼たちも、おかめの美しい
心に打たれて、優しく人を守護する鬼へと生まれ
変わる。
と云う筋書きになっていますので、
ここでは、
お神楽の 《 おかめ 》 の面(めん)が主役となります。
webTOKKより借用 ↑
各地方にも、様々な節分行事があると思いますが ・・・
どの地方の “ 鬼 ” 達も、
誘惑に負けてしまう人間の心や、病気や不幸を象徴したものなのでしょうネ
「 鬼は外、福は内 」 の気持ちは、
現代の日常でも、誰もが願っていることではないでしょうか
< 過去の関連記事 >
・ 狂言「節分」と面(おもて) ’11 2/1 ☞ こちら
能・狂言 雑感
正月も “ 松の内 ” が過ぎると、気分的にも普段の日常が戻って来る様な気がしますネ~
えっ、
「 もう、とっくに 日常が始まっている ! 」 って ・ ・ ・
m(_ _)m
まっ、それは置いといて
松の内 というのはお正月の 「 松飾り 」 を付けておく期間を云い、
最近では1月の7日まで のことをいうようですが、
本来は、小正月の15日までを 「 松の内 」 といいます。
江戸時代には、徳川幕府や諸藩から能楽師が抱えられ、正月などの祝賀の席では常に能や狂言が演じられていたそうですヨ~
今日は、
新年の 松 にちなみ “ 相生(あいおい)の松 ” で知られている祝言能 《 高砂(たかさご) 》 のお話を少し ・ ・ ・

作者は世阿弥(ぜあみ)で、古今集にある
『高砂 住の江の松も あひおいのやうにおぼえ』 を
原題としています。
昔から所の名木である 松 を夫婦に見立て、相生の夫婦と祝い、
さらに国土安穏(こくどあんのん)・御代長久(みよちょうきゅう)を祝っています。
高砂市の高砂神社の相生の松 (web画像)


【小牛尉(こうしじょう)】 【姥(うば)】
また、後シテの住吉明神の謡には、
われ見ても 久しくなりぬ 住の江の
岸の姫松 幾夜経ぬらん
その返歌である、
睦(むつ)ましと 君は知らずや 瑞籬(みずがき)の
久しき代より 祝いそめてき
と、伊勢物語 からも引用がされています。
でも、
結婚式の祝言によく謡われる部分は、
高砂や此(この)浦船に帆をあげて
・ ・ ・ 早住の江に着きにけり
ですが、
能の中ではワキの待謡(まちうたい)なのです。
高砂の浦を出帆し住吉に着くまでの景色を謡った
もので、めでたい言葉はこの中からは感じられませんネ~
一説には、
徳川幕府時代に ” 高砂 ” の松が重用されて、
徳川 → 松平(徳川の本名) ⇒
松 → 松は常盤 → 徳川の世の永続
を願って、正月の幕府の謡初めでは、
四海波静かにて 國も治まる時つ風 ・ ・ ・
から謡始める習いがあったようです。
これに顧慮(こりょ)して、庶民は待謡から始めたため、
「 高砂や~ 」 が祝言の謡となったとも言われています。

雅勒の庵の松は、
“盆栽崩れ”の松です (笑)
ところで、
特有の芳香のある、松脂(まつヤニ) の香りって好きですかぁ~
油絵の絵具の匂いを思い出しませんか
でも、松脂は
香水の成分の一つとして、主成分のテレビン油が用いられるそうです。
また、ギリシャのレッチーナ(Retsina)というワインは
松脂を香料として加えているそうですから
そんなに、毛嫌いする香りではないようですネ。
フランスには 松脂の香りのキャンディーがあったり、
松葉エキスを含む禁煙キャンディーも有るそうですから、
いずれ禁煙に臨む(まだ先ですが・・・)、雅勒としては強い味方になりそうです。
日本でも、
錦松梅(きんしょばい)に入れる 松の実 も忘れてはいけませんネ~
ついつい、
“ 香り ” から 食 の方にいってしまう、雅勒 でした。
< 過去の関連記事 >
・ 能楽「高砂」と面(おもて) ’10 9/30 ☞ こちら
えっ、
「 もう、とっくに 日常が始まっている ! 」 って ・ ・ ・
m(_ _)m
まっ、それは置いといて
松の内 というのはお正月の 「 松飾り 」 を付けておく期間を云い、
最近では1月の7日まで のことをいうようですが、
本来は、小正月の15日までを 「 松の内 」 といいます。
江戸時代には、徳川幕府や諸藩から能楽師が抱えられ、正月などの祝賀の席では常に能や狂言が演じられていたそうですヨ~
今日は、
新年の 松 にちなみ “ 相生(あいおい)の松 ” で知られている祝言能 《 高砂(たかさご) 》 のお話を少し ・ ・ ・

作者は世阿弥(ぜあみ)で、古今集にある
『高砂 住の江の松も あひおいのやうにおぼえ』 を
原題としています。
昔から所の名木である 松 を夫婦に見立て、相生の夫婦と祝い、
さらに国土安穏(こくどあんのん)・御代長久(みよちょうきゅう)を祝っています。
高砂市の高砂神社の相生の松 (web画像)


【小牛尉(こうしじょう)】 【姥(うば)】
また、後シテの住吉明神の謡には、
われ見ても 久しくなりぬ 住の江の
岸の姫松 幾夜経ぬらん
その返歌である、
睦(むつ)ましと 君は知らずや 瑞籬(みずがき)の
久しき代より 祝いそめてき
と、伊勢物語 からも引用がされています。
でも、
結婚式の祝言によく謡われる部分は、
高砂や此(この)浦船に帆をあげて
・ ・ ・ 早住の江に着きにけり
ですが、
能の中ではワキの待謡(まちうたい)なのです。
高砂の浦を出帆し住吉に着くまでの景色を謡った
もので、めでたい言葉はこの中からは感じられませんネ~
一説には、
徳川幕府時代に ” 高砂 ” の松が重用されて、
徳川 → 松平(徳川の本名) ⇒
松 → 松は常盤 → 徳川の世の永続
を願って、正月の幕府の謡初めでは、
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から謡始める習いがあったようです。
これに顧慮(こりょ)して、庶民は待謡から始めたため、
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