山姥(やまんば) 】は、

能の演目《 山姥 》に用いられる面。


山姥 は、一人深山に棲んで春は花を尋ね、

秋は月を求め、冬は雪を誘って

山を廻るが妄執を離れられない鬼女である。

大自然の中に生きる山姥の苦悩を見る深い内容

である。


大和猿楽四座

すなわち観世、金春、宝生、金剛の【 山姥 】 は

17.栗原【山姥】
栗原
さんの【山姥】


このようこの様な面が用いられるが、

旧蔵者の梅若家の【 山姥 】の面は、

00.【山姥】_堀安右衛門(赤鶴写)正面



非常に強い表情で、

特に 歯茎 を現わしている点が珍しく

01.正面a_口廻り












一見、老女とは思えない
表情をしている。

更に、面の彫りには

眼の廻りの “ 二重線 ” や “ 涙袋 ” の彫りと

“ 眉間皺 ”・“ 口廻りの皺彫り ”  等


01.正面a_眼upa









かなり特徴的な技法が施されている。


  実はこの面は、
明治時代には
  【 真蛇 】 とされていたと云う。
  付属の面当てには「真蛇 赤鶴作」と墨書されている。

  角の痕跡はないが、
  上歯の左右端に牙を付けていた銅釘が残っている。

  しかし、
  鼻と口の間、顎には植毛孔を埋めた痕跡があり、
  X線CT調査によると頭にも植毛孔の跡が見える。
  当初は 【 悪尉 】 として作られたのだろう。

  和歌山・根来寺にはこの面とよく似た
  【 鷲鼻悪尉 】 がある。

img_0252





















  ただし【 悪尉 】には髪はないので、
  定型化する前の、今は残っていない形の面だったのだろう。

  面のサイズが老婆にしては、かなり大振りで
  【 悪尉 】等の鬼神面のサイズで彫られていることで
  納得がいく。

        ーー  国立文化財機構 HP より  ーー




本面のサイズは、元々が【悪尉】(男面)である

ことから

大振りな面なので、

今回は老女らしく93%に縮小して製作を試みる。


粗彫りと仕上げ

P4244868

P4284848


この段階で、型紙を作成

img_0269



  左右の
  バランス調整






横型紙_1
横型紙_2
横型紙_3




その後、
P5124885


眼・鼻・口の小作りをして彫りが完成





面裏も、本面に合わせて

面裏_雅勒作

墨漆の仕上げ


彩色は、これからですが

本面を参考に傷彩色で仕上げる予定です。