四季咲きの ” 薔薇 ” が、

秋の花を咲かせはじめました。

ガブリエル_10.13
             Gabriel  (FL)

夏の手入れを怠ったせいか?

花数も少なく、花姿も小ぶりのような気がします。

シャネル_10.09
















                      Chanel  (FL)


タイタニック_10.13
















      Titanic (HT)



まさか、『 源氏物語 』 に ” 薔薇 ” が ・ ・ ・ ?

と思われるでしょうネ~  


源氏物語 』 賢木(さかき)の巻に、

さりげなく夏の 薔薇 を見せています。



左大臣家の長男・三位中将と 光源氏 が、

教養ある人々を召して、

管弦の遊びや漢詩文の競い合いなどで日々の無聊を

なぐさめている場面です。


  今日も例の人々、多く召して、文(ふみ)など作らせ給ふ。

  階(はし)のもとの薔薇(さうび)、けしきばかり咲きて、
  春秋の花盛りよりもしめやかにをかしきほどなるに、
  うちとけ遊び給ふ。

  ( 建物の階段の下に、
    薔薇(そうび)というバラの花が、わずかばかり咲いている。
    それがかえって、
    春秋の満開の花よりもしっとりと落ち着いた風情を
    醸し出しており、そのなかで
    くつろぎ、管弦の遊びなどを楽しむのだという。 )


この時代の 薔薇(そうび) とは、中国から渡来した

庚申(こうしん)薔薇 長春薔薇 ではないか ?

ロサ・キネンシス(庚申薔薇)_【バラにまつわる様々なお話】









             ロサ・キネンシス(庚申薔薇) Webより


と考えられているようです。


そして、

漢詩を争うなかで白楽天や白居易(はくきょい)

薔薇(そうび) に纏わる詩句が、

引用されたのではないかと思います。



源氏物語 』 のもう一巻、「 乙女(おとめ) 」 にも

秋の八月に六条院が完成して、

北東にあるその夏の御殿の庭に 薔薇(そうび)

出てきます。

   北の東は、涼しげなる泉ありて、夏の蔭によれり。
   前近き前栽、呉竹、下風涼しかるべく、
   木高き森のやうなる木ども木深くおもしろく、
   山里めきて、卯の花の垣根ことさらにしわたして、

   昔おぼゆる花橘、撫子、薔薇、苦丹など
   やうの花、草々を植ゑて、
   春秋の木草、そのなかにうち混ぜたり。

   (昔の思われる花橘、撫子、薔薇、木丹などの
    草木を植えた中に春秋のものも配してあった。)



六条院御殿の、造園の様子が描写されています。


紫式部は、薔薇や撫子などの花姿と乙女の姿を

だぶらせていたのではないでしょうか ?

クイーンエリザベル_10.11
         QueenElizabeth (HT)


でも、

平安の時代に今と同じ様な 薔薇 賞翫(しょうがん)

していたなんて、驚きですよネ~ 





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