今打っている能面の材は、ヒバ材 なので

堅くて苦労しています。 


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  平面の
  木取り

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能面材としては、何種類かの材を使いますが


ヒバ(米国産)






 米ヒバ

 密度 
 0.54 g/cm³


欅(ケヤキ)





      (ケヤキ)

      密度 
      0.76 g/cm³


桐(会津)





 狂言面で使用
 (会津産)

 密度 
 0.29 g/cm³







やはり、

堅さ(木の密度) ・ 粘り気 ・ 香りの点で


    女面用(柾目材)           大型面用(板目材)
檜(木曽)檜_板目(木曽)











   密度 0.41 g/cm³           密度 0.39 g/cm³ 


木曽の(ヒノキ)が一番ですネ~ 



でもでも、

ヒバ の木って、いろんな物語をもっています。


あすなろ ” って言えば、皆さんご存知でしょう。

井上 靖の あすなろ物語 が有名ですよね。

アスナロ物語











    明日は (ヒノキ) になろうと願いながら、
    永遠になりえない あすなろ の木の説話に託し、
    何者かになろうと夢を見てもがく人間の運命を
    活写した作者の自伝的小説。




ヒバ は木曾地方では あすなろ とよばれる

木曾五木の一つで、

に近い材質を持っています。

東北地方では ヒバ を俗に ヒノ キ と呼んでる様です。



ところが、

あすなろ の語源を 明日はヒノキになろう

由来するというのは誤りのようです。


古くは アテヒ といわれ、

古文でいうところの 「 貴(アテ)なるもの 」 からきた、
 
高貴なヒノキという意味であったといわれています。



明日はヒノキになろう = 翌檜 」の最初のきっかけは、

清少納言の 『 枕草子 』 で

  「 花の木ならぬは あすはひのき
    この世に近くも見え聞えず、
    御岳に詣でて帰りたる人の持て来める 枝ざしなどは 
    いと手触れにくげに荒くましけれど
    なにの心ありて あすはひの木とつけむ 
        あじきなきかね言なりや
    誰に頼めたるにかと思ふに 聞かまほしくをかし



あすなろ のような木が (ヒノキ) になるものかと

言っています。



それでも、

あすなろヒバ ” もに無い素晴らしい特徴を持って

いるんです 


の唯一の欠点はヤニが多く、

ヤニをそのままにして胡粉を塗っ てしまうと、

後でヤニのしみが浮き出てしまいます。

その点、

ヒバ はヤニがほとんど出なく、

彫後の木肌も色白で滑らかで綺麗ですので、

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最小限の彩色を施し、木肌をそのままにする

能彫 などには最適な材です。
  ↑
 (クイックすると能彫の記事にリンクします)




さらに、近年の研究で、


ヒバのおが屑や端材を蒸留して得られる精油の

ヒバ油 」。


そこに含まれる ヒノキチオール は、

食品添加物、病院の院内感染、アトピー性皮膚炎の

予防・症状の緩和、水虫治療薬、等にも効果があり

石鹸・シャンプー、風呂用芳香水、化粧品 等で、

ストレスを緩和し、精神安定効果がある事も判ってきた

そうです。



にならなくても、

ヒバ ヒバ で立派に役目をはたしていますよネ。