昨今、能面展は各地で開催されていますが、面裏はなかなか見れない事が多いですよネ!

能面は“写しの工芸”(創作もありますが・・・)なので、面表の作りはなかなか独自性を出すことが難しいものです。
でも、面裏は製作者の個性を発揮することが出来ます。 

今回は、雅勒の能・狂言面の面裏と雅号の刻印に付いて書いてみました。
(画像をクイックすると、拡大表示されます)
 

  般若           
般若般若_a

  





表の彩色に合わせて、茶系の「拭き漆」に古び粉を施しています。
初期の作品ですので、刻印は“”の手彫りです。


  小牛尉
小牛尉小牛尉_a







表の彩色に合わせて、黄系の「色漆」に白との粉で古びを出しています。



   中将
中将中将_a







男面の場合、鉄色の「色漆」で趣を変える場合もあります。


    三日月
三日月三日月_a







下塗りに緑系の「色漆」を敷き、上塗りで黒漆を施し、柳葉をイメージして角刀で軽く彫をいれています。



    姥
姥姥_a







桐材の木目と彫り後を強調するために、黄系の「拭き漆」で仕上げています。


 乙(おと:狂言面)
乙乙_a







高級家具や象嵌(ぞうがん)細工に施される木材着色の技法を使い、“過マンガン酸カリ”を水に溶かして筆塗りをした面裏です。




   鳶(狂言面)
鳶鳶_a







桐材の木目を強調するために、塗りの回数を減らした「拭き漆」で仕上げています。
福井県池田町の《能面の祭典》で『佳作』となったのを機に雅号の刻印を“雅勒”としました。


  小面
女面女面_a 







女面の場合、横彫りと下方からの斜め彫りを基本に、「朱漆」の下塗りに黒漆で仕上げます。
最後にマコモ粉で古びを出しています。

女面_b
 ⇐ 雅号の刻印は凹彫り
   にして、溝に朱漆を垂
   らします。






 
   深井
深井
 女面でも、本面の面裏を
 参考にして総横彫にする
 場合もあります。

 【伝 是閑出目吉満作】の
 写し







  べし見悪尉(ねこ目悪尉)
べし見悪尉べし見悪尉_a







「猫目」を意識して放射状の彫りと“くすんだ黒漆”で仕上げた面裏



  大べし見
大べし見大べし見_a







“ノミあと”を残さず、シンプルな彫り。
これも、趣がありますネ




  延命冠者
延命冠者延命冠者_さざ波







丸曲ノミで、細かく横に透いて“さざ波”を表現した面裏の趣。
溝に程良く残る古び粉が彫り後を強調しています。

最近の作品で、雅号の刻印も最終的に決まりました。
延命冠者_a







能面打ちを初めて、10年を迎えようよしています。
能面の裏彫りと雅号の刻印も色々と『寄り道』をしましたが、ようやく“雅勒”のスタイルが定まったようです。 

でも、肝心の面表はまだまだ修行を積んで『面(おもて)の花』を咲かせたいものです。


能面・狂言面の詳細説明はHP「雅勒の庵」を観て下さい。