能は、室町時代の初期まで

物真似中心の大和申楽の 面白き能 であったのに

対し、当時の貴族・武家社会に、“ 幽玄 を尊ぶ気風

があったことから

優雅で美しい歌舞中心の 幽玄能 を大成 させた

のが世阿弥です。



この、“ 能の幽玄 に繋がるものが、能面の古色付け

でしょう。

img503_味方玄「能へのいざない」










                  味方玄 「能へのいざない」 淡交社より


   能面に古色をつけるのは単に古く見せるという事
   ではありません。
   能面の古色は能の幽玄につながるものです。
   古色のための古色ではつまりません。
   幽玄にするには気品も入ります。
   優美でもなければいけません。
   ・ ・ ・ 

                 鈴木慶雲 「続・能の面」わんや書店



能面打ちを始めて、

当初は、ヤシャブシの煮詰め液を使って網ボカシで

古色を付けていましたが、

網ぼかし










更に一歩進めて、

現代の能面師の第一人者、

堀安右衛門氏の「能面の観賞と打ち方」 (淡交社)

彩色 を参考にして、能面本来の古色付けをする

ようにしています。





この古色付けのチャン(古色液)はケーキカラーで、

CAKE COLOURS












能面の幽玄さを表現する三種類のベースの色、

利休ねずみ 梅ねずみ 鳩羽ねずみ

を作ります。





1.若竹色 を作る。

  ・ 小皿にケーキカラーの黄・赤でオレンジ色を作る

若竹色(2)若竹色(1)








  ・ オレンジ色に青を加えると若竹色になる

若竹色(3)







若竹色







2.ねずみ色 を多めに作る

  ・ 小皿にケーキカラーの黒と白を水に溶く

ねずみ色














3.利休ねずみ

   2.で作ったねずみ色に若竹色を混ぜる

利休ねずみ(1)






利休ねずみ


4.梅ねずみ

  ・ 小皿にケーキカラーの赤を水に溶き
   2.で作ったねずみ色を混ぜる

梅ねずみ(2)梅ねずみ(1)







梅ねずみ



5.鳩羽ねずみ

  ・ 小皿にケーキカラーの青を水に溶き
   2.で作ったねずみ色を混ぜる

鳩羽ねずみ(2)鳩羽ねずみ(1)






鳩羽ねずみ




この三種類の色が、

古色の三原色


幽玄味を醸し出すベースの色となります。



この三色のねずみ色で、

モデルとなる能面の上塗りの色に調子を

合わせて古色の色味を調整します。

古色調合







古色




この古色液を布に浸み込ませて、よく絞って

能面に打ち付けていきます。

古色付け_0









古色付け_1















最終的に、

毛書き・目の墨入れ・紅差しを終えてから

再度、全体の調子を見ながら古色を付けて

古色付け_仕上げ(2)









古色付け_仕上げ(1)














完成です。


P2200015












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なかなか、

気品のあり優美な古色にたどり着きません。

永遠の課題ですネ~