12年振りに 【 白式尉(はくしきじょう) 】 を打ってみました。


教室の生徒さんの一人が、人に頼まれたので

白式尉 】 を3面打ちたいとのことで ・ ・ ・



それならと、

製作時間も短縮できる小振りの 【 白式尉 】 として、

参考となる面を急遽打った次第です。


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      面裏は、
      さざ波の模様彫り


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 顎を切れば
 彫りの完成






この小振りの日光作 【 白式尉 】 は、


白式尉_伝日光作

   今回のモデル面
  




     伝 日光作
    17.5×14.1×5.7

    厚みが5.7cmと薄く
    彫りはなかなか難しい


 
                               「能のおもて」 玉川大学出版部 より



雅勒 が師事した、故 藤田朧雲(ろううん)師も打っていて

藤田朧雲作











     故 朧雲作の
      【 白式尉



洗い彩色 を施した素晴らしい面でしたので

いずれ、雅勒 も打ってみたいと思っていたものです。




本来、 【 白式尉 】 は

能面を習い始めて2作目位に製作する面なのですが

雅勒 も “ 初心 ” の言葉を噛みしめながら、

再び打ってみました。





『 世阿弥の奥義 - 初心不可忘 - 』

風姿花伝













世阿弥が言う “ 初心 ” は 最初の志 に限られては

いません。


世阿弥は、人生の中にいくつもの “ 初心 ” がある

と言っています。

 ・ 是非とも初心忘るべからず
  (是非によらず、修行を始めたころの初心忘るべからず)

 ・ 時々の初心忘るべからず
   (修行の各段階ごとに、各々の時期の初心忘るべからず)

 ・ 老後の初心忘るべからず
  (老後に及んだ後も、老境に入った時の初心忘るべからず)



これを能面打ちに例えて言えば、

能面製作の習いたての “ 若い時の初心 ” とは、

具体的には能面製作を始めて数年程のことでしょう。


人に能面打ちを教えるようになったころが、

 “ 時々の初心 ”  の時。


そして、

年老いてある程度の面打ちの極みにまで達しても、

これで良いと言えるような到達点はないと思います。


たとえ達人の境地に達したとしても、

その境地に足を踏み入れた時点で、

それはそれで新たな “ 初心 ” なのです。

それが、“ 老後の初心 ではないかと思います。


雅勒 の境地としては、

今は  時々の初心 の修練の真っ最中です。


“ 老後の初心 はまだまだ、先の先

そう思いたい今日この頃です。