ゴールデンウイーク(GW)ですネ~ 

あしかがフラワーパークでは、 の観賞で

大賑わいではないかと思います。



雅勒の庵 の庭でも、

鉢植えの が満開を迎えています。

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今回は、 にちなんだ能を紹介します。



・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・


都からきた僧(ワキ)が、北国の名所を巡った後

善光寺詣をしようと信濃の国に向かう途中、

の名所の越中の国、多枯(たご)(富山県氷見市)

に立ち寄ります。


折しも、 の盛りであったので

僧が、松と交じって見事に咲いている 藤の花

見ながら

 「 おのが波に同じ末葉のしをれけり、
      咲く多胡の恨めしの身ぞ
」 
                                            新古今集 慈円


という古歌を口ずさみます。


すると、どこからともなく美しい女(前シテ)が現れ、

その歌はこの にふさわしくないと僧を咎め、

 「 どうして、そのように
  我が身藤の花を卑しめるような歌を
  口ずさむのか 」

と問いかけてきます。


もっと相応しい古歌があると教えます。

 「 多枯の浦や汀(みぎわ)の咲きしより
        波の花さえ色に出でつつ



女は、

 「 自分はこの浦に咲く 藤の花 の精である 」

と言って、花の影に消えていきます。



若女 (2)
   藤の精 が懸ける女面



      若女 】 の面 
         (観世)


孫次郎





 ⇐ 【 孫次郎 】の面 
          (金剛) 


節木増







   【 節木増 】 の面
 
       (宝生)






    ・ ・ ・ ・ ・・  中間  ・ ・ ・ ・ ・


多枯の浦の にまつわる話を所の者から聞いた

僧は、

その夜、法華経をとなえてから、藤の花 の下で

仮寝していると、


僧の夢枕に 藤の精(後シテ)が現れ、

 「 読経のお礼に歌舞をなすために現れた 」

と告げ、

仏の功徳により花の菩薩になった事を感謝して、

美しい舞を舞って見せますが、


藤_金剛能楽堂【能への誘い】














                         
 金剛能楽堂【能への誘い】より


春の短い夜の明ける頃、朝霞と共に消えうせて

しまいます。


                    ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・



草木の精を主人公にした能は、

杜若(かきつばた)西行桜》など多くありますが、

この 《 》 という曲目は純粋に “ ” の美しさを

表現している能です。


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ところで、雅勒 のGWは、

もっぱら、庭の花木を二階のベランダから愛でる

だけで終わってしましますネ~




  < シリーズ : 能と面の花物語 >
    
     ・ 第10回 双子の【小面】           ’13  5/24   ☞ こちら
      ・ 第 9回 能楽「箙(えびら)」 と 梅  ’12 3/ 8   ☞ こちら     

     ・ 第 8回 能楽「紅葉狩」 と 紅葉   ’11 11/11   ☞ こちら
     ・ 第 7回 能楽「菊慈童」 と 菊花   ’11 10/20   ☞ こちら
     ・ 第 6回 能楽「井筒」 と 尾花     ’11 9/ 2   ☞ こちら
     ・ 第 5回 能楽「半蔀」 と 夕顔       ’11 8/ 4   ☞ こちら
     ・ 中間   狂言「千鳥」 と 千鳥草     ’11 6/23   ☞ こちら 
     ・ 第 4回 能楽「杜若」 と 菖蒲?    ’11 6/17  ☞ こちら 
     ・ 第 3回 能楽「石橋」 と 牡丹  
   ’11 5/ 6   ☞ こちら 
     ・ 第 2回 能楽「桜川」 と 桜    
    ’11 4/ 1   ☞ こちら
     
・ 第 1回 能楽「東北」 と 梅        ’11 3/11   ☞ こちら