今年の仕事始めは、“ (うるし)塗り からです。



取りあえず、

昨年彫りの完成した【 武悪(ぶあく) 】 と 【 猩々(しょうじょう)

の面裏処理を終え、


工芸用合成漆




  工芸用の
  合成漆と顔料



武悪の面裏









 古びを出す為、
 まこも粉を






この後は、

またまた、お散歩作業です。



でも、このお散歩作業、

なかなか手間がかかるんですヨ~ 



昨年手作りした 組紐の丸台 を、

漆塗りで仕上げようと ・ ・ ・

本格的な 漆塗り に挑戦です。




円型の鏡と支柱は、
木目を見せた “ 摺漆(すりうるし) ” で仕上げます。


 1.木地の調整
 
   丸台製作時に十分、サンドペーパーで研いで
   いますので、この作業は省略です。

 
 2.木地固め

   白木の木地に漆をしっかりと浸透させる為、
   生漆を片脳油で6~7倍に希釈したものを

生漆と片脳油



    生漆(チューブ)
    片脳油




漆(7倍に希釈)





 生漆を
 6~7倍に
 希釈






   刷毛でたっぷりと塗り込みます。

手始めに

 



  手始めに
  支柱から


 浸透塗り







 いよいよ
 鏡板を




   塗り終えたら、5~10分程吸い込みを待って


布で拭き取り










   布で、丁寧に拭き取ります。

   拭き取り後は、漆風呂 で乾燥させます。

漆風呂に湿気を




      段ボールの
      内側を湿らせる


漆風呂で乾燥

 



 漆は、
 湿気を吸わせて
 乾燥させる




漆風呂の湿度




  






   この時期、室内は20~30%の湿度ですが
   漆風呂の中では、80%近くなります。

   乾いたら、今度は漆を片脳油2~3倍に希釈し、
   2度目の塗りをたっぷりと行う。



 3.目止め

   今後の工程で、仕上げを滑らかにするために、
   水で溶いた砥の粉を漆に混ぜ(砥の粉:漆=2:1)
   サビ漆 を作り、

砥の粉










サビ漆 (2)
 










  
   布で、
   サビ漆を木目に摺り込むようにしっかりと塗る。


サビ漆





   







   その後、すぐに布で余分なサビ漆を拭きとる。

   サビ漆は、粘度が強いので分割した範囲を
   「 摺り込んでは拭く 」 作業を繰り返しながら
   全面を目止めしていく。


   乾いた後、サンドペーパー(#600~#800)
   軽く研いでサビ漆を取り除く。

 ペーパーの調整




   #400のペーパーを
   擦り合わせて#800
   程度に調整




ペーパーで軽い研ぎ















 4.摺り漆

   木地に漆を拭き重ねる。
   一度目は、漆を片脳油で3倍に希釈したものを
   刷毛で塗布する。

   布で力を入れて漆を延ばし、拭きの均一化と
   拭き取りを行う。

   その後、漆風呂に入れて乾かす。

   二度目の塗りは、漆を片脳油で2倍に希釈した
   ものを刷毛で塗布して乾かす。



 5.研ぎ

   再度、#800のサンドペーパーで全体を軽く
   研ぐ。



 6.最終の摺り漆

   No.4 の 摺り漆 の工程と同様に
   再度、2倍に希釈した漆を刷毛で塗り、
   布で拭いた後に漆風呂で乾かす。

   乾いたら、
   漆の原液を刷毛で薄く延ばしながら塗布して、
   布で漆をしっかりと摺り込ませる。

漆の拭き重ね










   最後に、レーヨン紙で拭いて最終乾燥させて
   完了となる。

   レーヨン紙
   





    レーヨン紙


レーヨン紙で拭く













   更に丁寧に仕上げる場合は、
   最終の摺り漆 の工程を数回繰り返し行う。



こうして、
塗り拭きor研ぎ乾燥 を繰り返し行って

完成した 鏡板 支柱 です。

鏡と支柱



とにかく、大変な作業です 

散歩のつもりが、迷路に迷い込んだようです。



次は、

台座を 黒漆 で仕上げます。





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