「面(おもて)を打つ」_下塗り の続きです。
       ↑
    クイックすると、別窓で開きます。


翁系の面の彩色は、“ 梨地 を活かした彩色が多いので、今回の 【 父尉(ちちのじょう) 】 は強めの梨地(柚子地に近い) 研ぎ で仕上げることにしました。

但し、
モデルとした中村直彦氏のものは、普通の (いろ)彩色 です。


img358



  モデルにした
  【 父尉 の画像






       井伊家秘蔵
       「能面能装束展」図録 より








 1).下塗りの胡粉液を濃い目にする

胡粉_11.06

    絵皿に取り
    膠を増量する










 2).スポンジで梨地を打つ

スポンジ_11.06

   キッチンスポンジ
   を切ったもの










   このような状態に仕上げる。

梨地_11.06 


梨地(2)_11.06

梨地(3)_11.06











これで、上塗りの準備は完了ですが、
最後の彩色の前に、もう一仕事あります。


しばらくは、美容師のお仕事です (笑)




翁系の特徴でもある、ボウボウ眉(まゆ) 顎髭(あごひげ) の工作です。




ボウボウ眉は、ウサギの毛のボンボンをバラして2個作ります。
ウサギの毛


  通販で購入した
  アクセサリ用の
  ボンボンを分解





ウサギの毛染


  面の彩色に合わせ
  ヤシャブシ液で染色
      (1時間程)





顎髭は、
馬の たてがみ を使い2mm程の束を7束作ります。
顎髭の毛染



  ヤシャブシ液で
  煮沸しながら染色






ようやく、彩色の準備が整いました。

工作品

顎繫ぎ紐は、
ホームセンターで薄茶の 組紐 を購入



翁系の 【 白式尉(はくしきじょう) と  黒式尉(こくしきじょう) の場合、
ボウボウ眉には、麻を束ねて打ち広げたものと、顎繫ぎ紐には麻紐を使いますが、

父尉 】 の場合、家長的な尊厳を表現していることを意識して少し贅沢な装飾品を揃えてみました。


次回はいよいよ、 【 父尉 】 の彩色で完成になります。




< 過去の関連記事 >

   ・ 翁面の工作と系譜      ’12 10/ 7   ☞ こちら
   ・ 能楽「翁」と面(おもて)        ’10  8/18   ☞ こちら