「面(おもて)を打つ」_裏面処理 の続きです。
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    クイックすると、別窓で開きます。


面裏の漆が十分乾いたことを確認してから、
彩色の 下塗り にはいります。




下塗り に必要な道具や材料は、

下塗り用具・材料_10.25
  ・(にかわ)
  ・盛り上げ胡粉   
 
  ・乳鉢と乳棒
  ・平筆(大・小)
 
  ・通し(100番)
  ・ビーカー
  ・メスシリンダー

  ・電気コンロ




 1).(にかわえき)を作る

膠原液_10.25
     鹿膠の原液と
     50℃程度の湯
     を1:3の割合で
     薄める




 
膠溶液_10.25



     埃が入らないように
     ラップで蓋をしておく







     一般的には、固形の粒膠60℃の湯で15~20分位で
     溶解させた溶液を使いますが、
     雅勒の場合は、保存性が高く簡単に溶解出来るゼリー状
     の
鹿膠(しかにかわ)を使います。



 2).胡粉(ごふん)団子を作る

盛上げ胡粉_10.26


     この量で、
     一面分の
     見当
 
     (木匙、5杯)


胡粉の粉ね_10.26


     小匙で、
     5~6杯の
     膠液を混ぜる





胡粉の粉ね(2)_10.26



     ボソボソな状態
     で胡粉と膠液を
     混ぜる

      (蕎麦打ちの要領)



百叩き_10.26

    団子状に
    まとめる

    堅さは、
    耳たぶ程度
 


     この状態で乳鉢に叩き付けて、胡粉の中の空気を
     抜いて、膠とよく絡ませます。
     この作業を 百叩き(ひゃくたたき) と言います。

     




 3).胡粉(ごふん)膠液(にかわえき)で溶く

手練り_10.26

    手捏(てこね)
    棒状に伸ばす





アクだし_10.26

    大豆くらいの
    粒に分けて
    ぬるま湯を注ぎ
    アク抜きをする




膠で溶く_10.26


    水をきり
    膠液を注ぐ
    



 
溶かし_10.26


    指の腹で
    胡粉の粒を
    膠液に溶かす




濾し_10.26


    100番の“通し”で
    濾して出来上がり








 4).胡粉液 の濃度を調整する

濃度の調整_10.26

    出来上がった
    胡粉液にぬるま湯
    と膠液で濃度を    
    調整 


 

濃度の調整(2)_10.26

    筆先からの
    垂れ具合で判断


    ( 経験的に ・・・ )






 5).胡粉液 を木地に馴染ませる

馴染ませ_10.26

       
    木地に押し付ける
    ようにムラ無く塗る


    この時の胡粉液は
    通しに残った胡粉を

    膠液で洗った濃い目
    のものを使う







 5).下塗り

    “ 刷毛返し は何度もやり過ぎないで、
    胡粉の層を均一に塗る。



全体を 横刷毛目 に仕上げる様な特殊な彩色をする場合などを除いては、
額から目の部分は横に塗り、鼻・頬は縦塗りで、最後の顎の部分は丸みに沿って塗ります。


初回の下塗り_10.26




      初回の
      下塗りの直後








 6).均(なら)研ぎ

    下塗りを数回行った後に、サンドペーパで
    塗りあとを均す。

ペーパー研ぎ_10.27

    180番のペーパ
    で研ぐ



 
                          ( ↑ クリックして見て下さい)

溜まりの除去_10.27


    目や歯の部分の
    胡粉の溜まり
    取り除く
    


拭きとり_10.27


    湿った布で
    軽く拭き上げる





  5)の下塗り と 6)の研ぎ の工程を1セットとして、
  3~5セット繰り返して、下塗りが完了します。


下塗り完了

          【蝉丸】           【曲見





能面の彩色では、
古色の陰影効果を出すために 梨地 を付ける場合があります。


強い梨地を付ける場合は、下塗りの完成した時点で最後にスポンジや刷毛で 梨地 を施して置きますが、
女面・男面など繊細な面の場合は、上塗りの時点で 梨地 を施します。




次は、
能面製作の最後の工程の彩色です。