雅勒の散歩路

能面師「雅勒(がろく)」が 能楽・能面及び、花木や野鳥・蝶等に関するHP番外編の記事を
“散歩”のような気軽な気持ちで、不定期に掲載しています。

能と狂言 観賞 4

昨日(9/5 日曜日)、
日立シビックセンターで開催された 初秋ひたち『能と狂言』の公演を観賞してきました。
 
img078 
 演目は
 
  能  「采女(うねめ) 小波之伝
  狂言 「寝音曲(ねおんぎょく)
  仕舞 「鐘之段」
  能  「綾鼓(あやのつづみ)
 
             でした。

       P9050276
    特設の能舞台 ⇒






「采女」 は春日大社の縁起物語、藤原氏や法華経の賛美、采女と帝(みかど)との悲恋、入水物語、成仏できたことの喜び等、内容は豊富で本来は2時間近くかかる作品のようですが、小書(こがき:特別演出)小波(さざなみ)之伝”を演じられました。
 
シテ(主役:采女)で掛けられた【宝増(ほうぞう)は可愛らしさと大人びた表情になんとも言えない趣がありました。


能の合間の狂言「寝音曲」は、野村満氏(人間国宝)の良い謡の声と悪い声の使い分けと、次第にそれを取り違えていく演技は80歳の歳を感じさせないものがあり感動しました。


最終演目の「綾鼓」は、
筑前(今の福岡県西部)の皇居の庭掃きの老人が、美しい女御(にょうご)の姿を見て身分違いの恋に落ちてしまった。
姿を見せる約束に鼓を打てと言われた老人は力の限りに鼓を打つが、それは綾(あや)を張った鼓だった…。
綾を張った鼓が鳴るはずはなく、悲嘆の余り池に身を投げた老人は鬼となって甦り、女御の不実を責めさいなむ という内容。
 
女御は【小面(こおもて)】、前シテの老人は【三光尉(さんこうじょう)そして後シテの老人の亡霊は【大悪尉(おおあくじょう)は圧巻でした。
綾鼓後シテ
 大悪尉の面を掛けた後シテ







この「綾鼓(あやのつづみ)」を題材にした、三島由紀夫の近代能「綾の鼓」はビルの小使の謎の貴婦人(実は女スリ)への恋物語は有名ですネ!
他にも、野上弥生子の演劇や有吉佐和子の歌舞伎のための「綾の鼓」もあるようです。



実は、前売りの予約席がかなり後ろの席だったので双眼鏡を持参して能面の表情を伺ったのですが、老人の亡霊のが何なのか(鼻瘤悪尉か?と・・・)悶々としていました。
 
今回の能公演の座長、粟谷明生氏(喜多流)のブログからそれが【大悪尉】だったことが判りました。


さらに、公演会場には日立「面幽会」の会員の皆さんの能面も展示されており素晴らしい作品も拝見できました。
 
P9050279P9050280


また、2年後の初秋ひたち『能と狂言』が楽しみです。
その頃は、雅勒の作品の個展を同じシビックセンターで開催したいものです。 (^‐^)v

でも、あと20年もしたら “綾の鼓をうちながら空しい絶望の日々” を送る老人の人生になるのかナ~ 
(o;ω;o)ウゥ・・・


能楽「翁」と面(おもて) 5

能・狂言の魅力を、能面・狂言面から探ってみるのも興味深いものです。
雅勒の作品をベースに能・狂言の演目と内容をシリーズで解説してみます。

初回は、やはり『(おきな)』でしょう。

』の演目は「能にして能にあらず」といわれ、他の能と異なり劇的な展開を見せることのない儀式の演目です。

揚幕が上がると、「面箱」を掲げた狂言方が出てきます。「面箱」の中には「翁の白式尉」「三番叟の黒式尉」「三番叟の鈴」が収められています。
演者より先に「面(おもて)が登場します。面はご神体であるわけです。
面箱の次にはシテ(主役)の翁が直面(ひためん:面をつけずに素顔のまま)で出てきます。次に、ツレ(助演者)の千歳(せんざい)狂言の三番叟(さんばそう)の順に役が出てきます。


司祭役の太夫(シテ)が舞台右奥に座した後、
笛の吹き出しと小鼓(つづみ)の連打にのって、「とうとうたらりたらりら・・・(呪文めいた文句)と謡い出す。
続いて、千歳が若さを代表して溌剌(はつらつ)たる露払の舞を舞ってその場を清めます。
その間にシテが白式尉(はくしきじょう)の面をかけ、清められた場で白き翁の神が天下泰平を誓う舞を舞ます。

  白式尉                  
hakusiki   」の舞
        


「能面の風姿」(東方出版)
                          「能面の風姿」(東方出版) より ↑

続いて、三番叟が直面(ひためん)で「おおさいおおさい喜びありや・・」と、躍動的な「揉(モミ)ノ段」を舞います。
その後、黒式尉(こくしきじょう)の面を掛け、黒き翁の神となって鈴を振りかざし「鈴ノ段」を舞い、“五穀豊穣”を祈りを捧げます。

kokusiki-yoko
 ⇐ 黒式尉
 
    農耕になじんだ庶民的な
    神の相貌







「白式尉」、「黒式尉」の共通の特徴は、“切り顎(あご)”と“への字眼”で、「白式尉」の眉は兎の毛や麻で作った“ボウボウ眉”も他の能面には見られない工作です。


また、』の特殊演出古い演出)「父尉(ちちのじよう)延命冠者(えんめいかじゃ)には父尉延命冠者の能面が使われます。

enmeikajya

 ⇐ 
延命冠者
 
   延命の徳をそなえた
   少年の相貌で、「父尉」
   と対になる役









近年、『』の演目は新年あるいは舞台のこけら落としに上演されることが多くなったようです。


現在「老い」はマイナス要素で考えられることが多いのですが、古来伝統的には、長寿を保った老人(=)には不思議な霊力が籠もっていると、考えられ「年老いる」ことはプラス評価でもあったわけです。

現代社会にも、そうあって欲しいものですネ! (^‐^)v



能面の詳細説明はHP『雅勒の庵』の「作品展示室
http://www.net1.jway.ne.jp/k_garoku/gallery.html
                  を覗いてみて下さい。

鱗粉転写 3

先日、親を連れてくるために木更津の家を整理した時に昔懐かしいものが出てきました。

雅勒の中学時代の夏休みの宿題で、蝶の“鱗粉転写による標本”を作ったものが・・・

雅勒のHPにも庵(いおり)に集う“野鳥”の情報をアップしていますが、この頃から“”に対する興味が芽生えたのだと思います。

 飾り窓を装った表紙         押し花にとまる蝶
P8070267P8070268










数10年経っても、押し花の紫色が鮮やかです。


P8070270
 ⇐ アゲハ蝶
   




さすがに、鱗粉の色が退化して褐色を帯びています。




P8070271
 ⇐ キアゲハ(左)
    クロアゲハ(右)






P8070273
 ⇐ アオスジアゲハ
   




スカイブルーのスジがまだ残ってます。
でも、このアオスジは鱗紛ではなく薄い膜自体がブルーのためスジの部分を切り貼りしたものです。
それにしても、色が鮮やかです。


P8070274
 ⇐ アカタテハ(左上)
   アサマイチモンジ(左下)
   コミスジ(右)

  



その他、10種類程の標本がありました。


鱗粉転写(りんぷんてんしゃ)”とは、蝶の標本技法の一つで、

 1). 採集した蝶の胴体から翅(はね)を取り外す
 2). トレーシングペーパのような薄手の紙に糊
    (当時はアラビア糊という液体糊があったのです
     が・・・)を塗る、
 3). そこに胴体から取り外した蝶の翅(はね)を置く
 4). さらに上から糊を塗った薄手の紙をあわせる
 5). 糊が乾いた時点で、翅の輪郭に沿ってハサミで
    切り取る
 6). 切り取った翅の上下の紙を剥がすと翅の裏表の
    標本が出来上がります

出来あがった標本を台紙に張り付けて、胴体部分を
色鉛筆で描写すれば、出来あがりです。

栞(しおり)に仕立てると、趣のある“Myしおり”も楽しめますよ (^‐^)v



面裏の趣(おもむき) 5

昨今、能面展は各地で開催されていますが、面裏はなかなか見れない事が多いですよネ!

能面は“写しの工芸”(創作もありますが・・・)なので、面表の作りはなかなか独自性を出すことが難しいものです。
でも、面裏は製作者の個性を発揮することが出来ます。 

今回は、雅勒の能・狂言面の面裏と雅号の刻印に付いて書いてみました。
(画像をクイックすると、拡大表示されます)
 

  般若           
般若般若_a

  





表の彩色に合わせて、茶系の「拭き漆」に古び粉を施しています。
初期の作品ですので、刻印は“”の手彫りです。


  小牛尉
小牛尉小牛尉_a







表の彩色に合わせて、黄系の「色漆」に白との粉で古びを出しています。



   中将
中将中将_a







男面の場合、鉄色の「色漆」で趣を変える場合もあります。


    三日月
三日月三日月_a







下塗りに緑系の「色漆」を敷き、上塗りで黒漆を施し、柳葉をイメージして角刀で軽く彫をいれています。



    姥
姥姥_a







桐材の木目と彫り後を強調するために、黄系の「拭き漆」で仕上げています。


 乙(おと:狂言面)
乙乙_a







高級家具や象嵌(ぞうがん)細工に施される木材着色の技法を使い、“過マンガン酸カリ”を水に溶かして筆塗りをした面裏です。




   鳶(狂言面)
鳶鳶_a







桐材の木目を強調するために、塗りの回数を減らした「拭き漆」で仕上げています。
福井県池田町の《能面の祭典》で『佳作』となったのを機に雅号の刻印を“雅勒”としました。


  小面
女面女面_a 







女面の場合、横彫りと下方からの斜め彫りを基本に、「朱漆」の下塗りに黒漆で仕上げます。
最後にマコモ粉で古びを出しています。

女面_b
 ⇐ 雅号の刻印は凹彫り
   にして、溝に朱漆を垂
   らします。






 
   深井
深井
 女面でも、本面の面裏を
 参考にして総横彫にする
 場合もあります。

 【伝 是閑出目吉満作】の
 写し







  べし見悪尉(ねこ目悪尉)
べし見悪尉べし見悪尉_a







「猫目」を意識して放射状の彫りと“くすんだ黒漆”で仕上げた面裏



  大べし見
大べし見大べし見_a







“ノミあと”を残さず、シンプルな彫り。
これも、趣がありますネ




  延命冠者
延命冠者延命冠者_さざ波







丸曲ノミで、細かく横に透いて“さざ波”を表現した面裏の趣。
溝に程良く残る古び粉が彫り後を強調しています。

最近の作品で、雅号の刻印も最終的に決まりました。
延命冠者_a







能面打ちを初めて、10年を迎えようよしています。
能面の裏彫りと雅号の刻印も色々と『寄り道』をしましたが、ようやく“雅勒”のスタイルが定まったようです。 

でも、肝心の面表はまだまだ修行を積んで『面(おもて)の花』を咲かせたいものです。


能面・狂言面の詳細説明はHP「雅勒の庵」を観て下さい。


巨大砂のアート 4

雅勒の散歩コースに、巨大な砂のアートが出現
世界のプロ・アーチストの作品もありました。

 作品名 “I Wonder”
P7200271P7200286
  
P7200274


⇐ 作品名“Wind”





P7200273

 ⇐ 作品名
    “Gear(ギア)”
   残念ながら、「鷲」
   の一部が崩壊して
   います



実は、これ ひたち「サンドアートフェスティバル」の作品です。
最終日の7/20(火)に撮った画像なので、作品の一部が崩壊していました。
P7200285






ここ日立の河原子海岸は、海岸に打ち寄せられるゴミが少なく水質が良いことから日本の「快水浴場 百選」に選ばれいます。

P7200279P7200280

P7200281
 ⇐ かっては、海の中に
   存在していた
   「烏帽子岩」





今年は猛暑だそうです。
これからの夏のシーズンは、海水浴客で混雑もするし、散歩も暑くて大変です。
しばらく、お休みかなぁ~


記事検索
月別アーカイブ
プロフィール

雅勒

メインHP ⇒ 雅勒の庵 』 

- - - - ’24 ( R.6 )- - - -
8/18青柳氏の【邯鄲男】をアップ
8/12 柏原氏の【 蝉丸 】【逆髪】をアップ
6/26「作品展示室」に【神鳴】をアップ
4/28「催し物情報」に能面展情報をアップ
2/7「作品展示室」に【生成】をアップ
2/6「催し物情報」に能面展情報をアップ
2/3 松本氏の【 蝉丸 】・
柏原氏の【姫鬼】・
青柳氏の【逆髪】を アップ
1/25 松本氏の《 蛇 》 をアップ


- - - - ’23 ( R.5 )- - - -
12/10 柏原氏の《 深井 》 をアップ
7/14 会員「作品教室」に受賞履歴アップ
2/3 催し物情報に能面展告知 をアップ





お時間があれば、こちらもどうぞ


紅葉狩(もみじかり)



― 能「紅葉狩」(能絵)-

能「紅葉狩」 ☞ こちら     



― 秋草 -
イラスト「十五夜」 より☞ こちら    
アクセスカウンター
  • 昨日:
  • 累計:

       ( UUを表示 )

訪問有難う御座います ♪♪

雅勒の勝手な、お気に入り
能面師 中村光江 さん
 「能面の世界」

能面アーチスト 柏木裕美 さん
 「能面の世界」

和あらかると 岩田晶子 先生
 組紐教室

ノビタ さん 
 「ノビタの釣り天国」

シャンソン歌手:日野美子 さん
 ♪日野美子の日記♪

シャンソン歌手:別府葉子 さん
 葉子通信

小森真理子 さんの公式HP
 琴 ー 感動

ポピュラーピアニスト namiさんの
 咲花/nami ブログ

ROUGE(ルージュ) さんの
 額 ~薔薇の国星~

音霧 忍 さん
 季(とき)の庭

房総のままちゃん
 ご飯の後。

暇人haru さん
 趣味の歳時記

パラグライダー人生 稲垣 さん 
 「パラグライダー人生」

- - - - - - - - - - - - - - - - - - -
QRコード
  • ライブドアブログ